内容説明
下谷車坂の惣右衛門店に新内語りの春蝶を見舞った時から事件は始まった。栄次郎の見知りの宗助が妻子を捨てて失踪したのだ。お節介焼きの己れの性分を自嘲しつつも、栄次郎はその行方を追いはじめた。やがて浮上する下級旗本金谷仙太郎自害死の謎。宗助失踪の裏に何が隠されているのか?美しく巡る江戸の四季を背景に、人と人とのつながりの儚なさと強さを叙情豊かに描く読切連作の秀作。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1983年『原島弁護士の処置』でオール讀物推理小説新人賞を受賞し作家活動に入る。以後、日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞等を受賞し確固たる地歩を築く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ごへいもち
8
いろいろ都合良く話が進む。魅力はイマイチ。次を読むか迷う2024/06/30
chacha
7
著者の時代物を読んでみたくなり、手に取ったシリーズ第1弾。取次屋栄三に似た主人公栄次郎だが、こちらは三味線侍。そして、父親ゆずりのお節介焼き、「人の喜ぶ顔を見ると、こっちまでうれしくなる。」新八の設定が上手くできすぎな気もするが、まあ読んでいて面白いからいいかな(笑)お秋とおゆうの対決もどうなるかな?御前と父との関係、栄次郎との関係は?気になりますね。シリーズ始まったばかり 読み進めていくことにします。2017/10/15
あき
4
ちょっと展開が都合良く進みすぎるのと、悪事を働いた相手が簡単に改心しすぎる。やむにやまれず手を染めたって悪事ならまだわかるけど、そんな簡単に改心するような人ならあくどい稼ぎを長年続けてないだろと思ってしまう。とりあえず次巻は読む。2024/02/16
アンドレス
3
小杉健治さんの作品を読んだのは初めてでしたが、東京都墨田区出身とのことで、下町言葉や江戸の地理的な距離感や風景描写に違和感がなく、内容に没頭できました。短編4編が収録されていますが、男女の情がメインのテーマであり、一読すると結末が軽い内容に感じますが、誇張の少ない表現が粋な栄次郎のキャラクターを浮き出させていて2作目以降も時折読んでいきたいと思います。2022/10/31
ひさか
3
2006年9月刊。文庫書下ろし。シリーズ1作め。連作短編4話。栄次郎は、三味線をなりわいにしたいと思っている侍の次男坊。父譲りのおせっかいで、毎回、事件に巻き込まれるが、人情味のある解決が楽しい。2015/09/20