内容説明
極寒のボスニア山中で大量虐殺の現場撮影に成功して帰国した報道カメラマン、ミッチ・コルトレーンは、伝説の写真家、ランドルフ・パッカードに出会い、彼が半世紀前に写した謎の美女の写真に魅せられる。しかしコルトレーンは、彼に戦争犯罪を暴かれ復讐に燃えるセルビア人司令官イルコビッチに狙われることになる。親友や祖父母を次々と惨殺されたコルトレーンの絶望的な死闘が始まる…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
9
一言では云い表せない作品だ。カメラマン、ミッチェル・コルトレーンが自分が撮ったイスラム教徒大量虐殺者ドラゴン・イルコヴィッチの魔手から逃れるという、まさにマレルの真骨頂とも云うべき作品なのだが、実は本書ではそこに至るまでにコルトレーンが伝説のカメラマン、ランドルフ・パッカードの遺志を継いでロサンゼルス各地の家々を撮影しに回るエピソードに面白さを見出していた。イルコヴィッチとコルトレーンの対決は、意外にもこの宿敵との決着は上巻の300ページ辺りであっさりと着いてしまう。さて下巻はどんな話なんだろう?2012/12/16