出版社内容情報
37歳までにチャンピオンにならなければ強制引退。崖っぷちのB級ボクサー・米澤重隆に残された時間はわずか9ヶ月。命がけでクレイジーな挑戦から目が離せない。世界ランカーとの最終決戦、その行方は!? 奇跡は起きるのか――。一瞬に人生を捧げた男の生き様に触れると、ただ心が騒ぎ出す。大宅壮一ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞の最終候補作にもなり話題を呼んだ傑作ノンフィクションが待望の文庫化!
内容説明
ミドル級のB級ボクサー・米澤重隆は年齢制限による引退が迫っていた。現役を続けるためにはチャンピオンになるしかなく、無謀な挑戦を始める。リミットはたった9か月。予想に反して次々と勝利を収めて東洋太平洋ランカーになると、誰もが奇跡を期待し始めた。強いパンチもスピードもない。愚直にボディを打つしかないのに、その拳から目が離せない。熱すぎるノンフィクションが待望の文庫化!
著者等紹介
山本草介[ヤマモトソウスケ]
1976年9月28日、東京都生まれ、早稲田大学教育学部卒。映像作家。ドキュメンタリー映画監督・佐藤真の助監督を経て、2006年劇場用映画『もんしぇん』で監督デビュー。以降フリーランスとして「プロフェッショナル 仕事の流儀」「情熱大陸」「100分de名著 チェーホフ“かもめ”」「ザ・ノンフィクション」など数々のドキュメンタリーやドラマを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
paluko
7
「試合映像を何十回も繰り返し見ていると、米澤がどれだけ小さなパンチを数多く当てていたかがわかってきた。離れて見ていると、ほとんど意味をなさないような、か弱いパンチでも、ひたすらに打ち続ければ確かにダメージを与えていたのだ」(188頁)。漫画「はじめの一歩」にもたしかこういうシーンあったけど、現実でもあるんだ! と。終盤、オーストラリアの世界ランカー・シェリントンとの試合では現地に着くまでにF.Xトゥールのボクシング小説に出てくるようなあの手この手で体力気力を削られ、実際リングに上がったときには…⇒2024/04/19
hexia
2
年齢制限のため引退が迫るB級ボクサー。競技を続けるには、次の誕生日まで9ヶ月以内にA級へ上がりチャンピオンを倒さなければならない。無謀な挑戦が本人を、ジムの会長やトレーナーを、恋人を、そして取材していた筆者をも狂気にも似た熱狂へと巻き込んでいくルポ▼蜘蛛の糸をたぐるかのような勝利が繋がり、最後に世界ランク10位と対戦するシーンでは私も「もしかしたらいけるのかも」と真剣に考えてしまった。私も狂気に当てられたものとみえる▼筆者とジム会長の会話が胸を打つ。「勝つために必要なものは?」「(胸を指し)ここ。気持ち」2024/04/26
澤唯
2
いろんな人がいて いろんな生き方があるもんだなー なんて 生きている実感ってなんですかね2024/02/19
野武士
1
名もなきB級ボクサーの話だけど。まるでボクシングを観てる感じがする、ドキュメンタリーだった。そこで闘うために生まれてきた人間とそこで闘いたいと願う人間。いい言葉。2025/01/30
ふじひろ
1
読売新聞紹介紹介欄にあったので、興味を覚えて購入。とにかく主人公のボクサーの貫いていく姿勢が凄い。ただ相手を殴るのはイヤで試合を重ねていくのは、およそ一般的なボクサーのイメージ(ハングリー)とはかけ離れていく。印象的だったのはボクサーで無くなった後の対談。主人公の余生という言葉に作者は残念な印象を持ったようだが、輝ける瞬間を人生の中で持ち得たのは、幸福だと思える。殆どの人はそのような瞬間を持たないまま生涯を終えるように思うから。 ★4.02024/03/29