出版社内容情報
鎌倉幕府を滅ぼし、壮絶な権力争いの末に朝廷をも屈服させて、室町幕府を開いた足利尊氏。類い希なるカリスマ性で騒乱の世を駆け抜けた猛将の生きざまを、彼を支えた弟・直義、北条家から尊氏に嫁ぎ、夫によって実家を滅ぼされた妻・登子の視点で描く歴史巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
57
鎌倉幕府から室町幕府へ。この時の足利尊氏直義兄弟の骨肉の争いと南北朝の争いをすっきりと理解できる作品。尊氏の妻・登子は北条方の娘なのに北条を滅ぼした尊氏は変わりなく登子とその息子・義詮を大切にしている。このあたりの詳しい話は『風の群像(杉本苑子)』で読んだはずなのに忘却のかなたに去ってしまっている、おうちに居なくてはならない時期なので読み返そうかな。2020/04/19
けやき
46
足利尊氏と直義の兄弟の人生を描く。視点は尊氏の妻登子と直義と高師直の3人にて。淡々と物語が進んでいく中、各々の視点から尊氏の不思議な性格を浮き彫りにしていく。2022/07/20
りー
19
サイコパスな天才兄=尊氏と、秀才・智略派弟=直義そして、北条氏から尊氏に嫁いだ登子。主に直義と登子の視点で尊氏が語られます。欺くための芝居を本気でできる人、昨日笑いあった人に平気で死を命じる人。なのに尊氏を、皆、憎めない天然キャラだと思っている。自分の一族を皆殺しにされた登子も、兄のサイコパスに気付いていた直義も、いざ尊氏の笑顔を向けられると簡単に信じてしまう。めちゃくちゃ怖ぁ~い尊氏でした。2020/07/04
マツユキ
17
久し振りの足利尊氏。尊氏の正室、登子もメインの一人というのは珍しい。足利と北条の関係がよく分かりました。尊氏のダメな所、誰にでも良い顔をする、無責任、人を平気で騙す。ごく身近な人も犠牲に…。酷い人なのに、人々を魅了し、憎めないのが、恐ろしい。2022/06/06
豆電球
16
極楽征夷大将軍を読了後、久しぶりに読みたくなり再読。大作後に読んだためかアッサリ感がすごかった。初読時も思ったけれど、大局を掴むにはちょうど良さそうな本かな。今作の尊氏もまぁまぁな不思議系。尊氏のこのよく分からない謎の言動はどうとでも取れる分、小説の題材にはもってこいな気がするんだけど、触れてはいけないような謎のオーラがあるのもまた事実。記憶が曖昧で言い切れないのだけれど、尊氏の心情を語った本にはまだ出会えていない気がする。ほんっと、直義が好きな事以外何考えてるか分からない。そこが彼の魅力なんだけどね。2023/08/04
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