出版社内容情報
時は戦国、所は三河。喧嘩のはずみで人を殺め、村を出奔した18歳の茂兵衛は、松平家康の家来である夏目次郎左衛門の屋敷に奉公することになる。だが、折しも一向一揆が勃発。熱心な一向宗門徒である次郎左衛門は「君臣の縁は一代限り。弥陀との縁は未来永劫」と、一揆側につくことを決意する。武士人生ののっけから、「立身出世」どころか国主に弓を引く「謀反人」になってしまった茂兵衛。波乱の世に漕ぎ出すことになった新米足軽の運命やいかに!?
内容説明
時は戦国、所は三河。喧嘩のはずみで人を死なせ、村を出奔した十七歳の茂兵衛は、松平家康の家来である夏目次郎左衛門に拾われる。折しも、家康と一向宗の三ヶ寺が対立、両者は一触即発の状態にあった。本来なら鉄の結束を誇る家康家臣団にも一揆側に走る者が相次ぐなど由々しき事態となっている。そして、熱心な一向宗門徒である次郎左衛門もその一人であった。武士人生ののっけから、立身出世どころか国主に弓を引く謀反人になってしまった茂兵衛。波乱の世に漕ぎ出した新米足軽の運命やいかに!?戦国足軽出世物語、いざ開幕!
著者等紹介
井原忠政[イハラタダマサ]
神奈川県鎌倉市在住。会社勤務を経て文筆業に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
368
田舎百姓の成り上がり伝説。まだこの一冊しか刊行されていない時に読んでいたら、もう少し微妙な感想になったかもしれないが、すでに九作目が発表され、そのタイトルを見ただけでも、なかなかの成り上がりっぷりなことが分かるので、続きが楽しみ。今回は、茂兵衛が足軽として一人前になるかならないかの段階。上役足軽との交流や、底辺から見た籠城戦を、気楽な文章で何も考えずに楽しめる。有名武将がまだほとんど登場せず、そういう点では、戦国時代物として地味に感じるところもあるが、そこは間違いなく、この先の展開で挽回してくるだろう。2022/07/20
しんごろ
186
戦国の世、三河が舞台。弟の丑松を守るため、喧嘩相手を死なせてしまった茂兵衛。丑松と共に村を出て、足軽として夏目次郎左衛門のもとに奉公に。三河は家康と一向宗が対立。どんな展開が待ってるかと気になる、気になる。ほぼ一気読み。面白いシリーズだ。夏目も大久保も見所のあるいい男達。榊原、威張り散らしたろくでもない奴だと思ってたけど、なんだかんだで部下思いのいい奴で先見の明もあった。茂兵衛、丑松、茂兵衛の朋輩である辰蔵、これから先、どんなサクセスストーリーが待っているか楽しみだ。 2025/06/14
海猫
180
喧嘩のはずみで人を死なせてしまい、村を出奔した17歳の茂兵衛。松平家康の家来の夏目次郎左衛門に拾われるが…。まずは茂兵衛の朴訥な人物像が面白く、内容がシンプルで読みやすい。たかが少年の喧嘩だったことが、少しずつ大事になっていく展開には入り込む。茂兵衛が足軽になってからは一兵卒の立場から見た戦場の描写が興味深く、槍の使い方や具足の身に付け方など蘊蓄もあって、楽しく読めた。まだまだ小規模ながらも合戦場面は臨場感あり。おおらかなユーモアあるのも良い感じ。初巻としては掴まれるものがあった。追って続刊を読んでいく。2022/11/05
おしゃべりメガネ
171
2022年度の'この時代小説がすごい!'にて見事文庫ランキング第1位を獲得した作品だけあって、その名誉に十分値します。とにかく読みやすく、テンポもよく人物描写も魅力的なので、飽きずにイッキに読めてしまいます。田舎村の百姓出身の「茂兵衛」はひょんなコトから、村を追い出され、足軽として仕えるコトに。若さと腕っぷし、稀にみる身体能力をいかんなく発揮し、戦の才能を開花させていきます。彼の周りに登場する人物もそれぞれに個性豊かで、この先の展開がとても楽しみで、どんどん出世してくサクセスストーリーに目が離せません。2022/03/21
ねこ
165
読み友さんの評判も良く、近くの書店でもお薦めされていたので手にとりました。少し前にキングダムの映画を観たのもあって個人が下層から登りつめて行き軍を率いて行く同じロマンを感じました。農民→小物→足軽、になり苗字まで拝命された主人公の植田茂兵衛。足軽装備の脱着や仔細、距離や重さを当時と現代の同時記載など、読みやすく、イメージしやすい工夫が随所に見られ今風の書籍とも感じました。三河地方は近隣なので馴染みは深いのですが現存しない場所が多く巻頭にあった地図が良いですね。…ただ兜首を切っている所は想像したくないなぁ。2022/07/30