出版社内容情報
側室一派の謀略により廃嫡され、幼時より国許で幽閉同然の身となっていた大吉田藩の正嫡順二郎は美々しくも無力な若君に育つ。だが二十四歳の折、世継ぎとされていた側室の子がポックリ逝去。急遽、隠密裡に江戸表へ迎えられることになった順二郎に手練の刺客、さらには誘惑美女が襲いかかる。いきなりの世間の荒波に、はたして若君は耐えられるのか!? 文豪・山本周五郎史上もっとも愉快な傑作時代小説。
山本周五郎[ヤマモト シュウゴロウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yj-Um
6
権力があるから幸せな訳ではない。権力者は権力に溺れ、怯え、しがみつく。本当の幸せは権力から開放されることかもしれない。2021/06/11
ひさか
6
2018年8月双葉文庫刊。ステレオタイプな始まりで、単純な明朗爽快、勧善懲悪、軽快、ハッピーエンドなお話かと思いきや、さすが山本さんで、風刺要素もあって、楽しめました。2019/01/23
Mitsuaki Saito
5
さすが周五郎先生、ゆかな小説でした。人物や風景の描写が巧みで、映像でも見てみたい作品です。ゆかいなだけでなく、お家騒動、正しい道はどれか、清いだけではない深みのある考えも示され、いろいろ考えさせられます。2022/06/19
k-umi(くみ)
3
おもしろかったのだけど、ラストが想像と違い爽快感があまりなかったのが残念。登場人物たちは可愛かった2019/08/31
オールド・ボリシェビク
3
この何ともキッチュな表紙に惹かれて、あえて新潮文庫ではなく、双葉文庫版にしてみた。変わっているなあ。戦後の空気に乗っかった時代小説とでも言おうか。2018/09/23