出版社内容情報
千野隆司[チノ タカシ]
著・文・その他
内容説明
一俵でも禄高が減れば旗本に格下げになる、ぎりぎり一万石の大名、下総高岡藩井上家に婿入りすることになった竹腰正紀はまだ十七歳の若者だ。正紀は、高岡藩江戸上屋敷を訪れたおり、堤普請を嘆願する百姓と出会い、二千本の杭を調達する約束を結んでしまう。まだ婿入り前にもかかわらず、高岡藩のために奔走する日々が始まった!待望の新シリーズついに開幕!
著者等紹介
千野隆司[チノタカシ]
1951年東京生まれ。國學院大學文学部文学科卒。出版社勤務を経て、90年「夜の道行」で第12回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キャプテン
51
★★★★☆_「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1786年江戸時代─天明の大飢饉編】天明の大飢饉で荒れる世。やると決めたら猪突猛進な、竹腰正紀殿が、婿入りする高岡藩の百姓たちを守るために立ち上がる。この時代、「米」とは「食料」であり、「金」でもあった。侍たちの給料は、「米」で支払われるのでござる。「一石」は、一人を一年食べさせる米の量。一万石を預かるのは小大名ではあるが、一万の責任を預かることでもある。婿入りを妨害する者と戦いながら、猪武者の婿殿は「米」を守る。がんばれ、と素直に応援したくなる好人物。2018/01/15
優希
46
面白かったです。一俵でも減ってしまえば旗本に格下げというギリギリ大名が主人公。それなのに2000本の杭を調達する約束をしてしまったからこりゃ大変。高岡藩のために奔走する正紀。大名のまま旗本に戻るかハラハラさせられ、物語にのめり込みでした。2024/03/27
rosetta
31
タイトルに惹かれて。確かに指摘されればちょうど1万石の大名は一俵でも減ったら大名ではなく旗本になってしまうのだ。そう言えば大名には譜代とか親藩、外様とかあるけど旗本ではそういうの聞いたことないな、なんでだろ?禄高を減らさないように苦労する浅田次郎的なコミカルな話を想像していたのだが全くそうではなかった。実在の人物、下総高岡藩井上家に婿養子に入った正紀は祖父は名古屋徳川家の当主、父は附家老の竹腰家に養子に入ったという御連枝さま。婿入りする前から井上家の所領の村の堤防修理に奔走したりチャンバラしたり。2023/03/18
ベルるるる
31
主人公らしき侍の後ろ姿の表紙の絵が、この物語のスタートにぴったりな気がする。太陽の光に照らされている田や川。希望と決意を胸に、自分の領地となった土地を眺め、そこに住む領民の為に力を尽くす覚悟を背負う。2017/12/01
ほう
27
大名の次男である竹腰正紀は石高一万の高岡藩に婿入りすることを決める。剣術の腕前もさることながら、正義感の強い若々しさが物語の盛り上がりに貢献している。堤防の決壊を防ぐために杭を用立て、それを打ち込む様子がはらはらするような展開で進んでいく。2022/03/02