内容説明
腕のいい蝋燭職人の父との確執から家を飛び出した照介は、十年に亘る放蕩無頼の生活の末、実家である蝋燭問屋に舞い戻る。すでに父は亡くなっており、家業は弟の次郎が継いでいたのだが、往時の繁盛ぶりは見る影もなく…。(「あかり」)―家族の愛憎を扱った表題作をはじめ、米つき屋、廻り髪結いなど、江戸の市井で懸命に生きる人々の、日々の暮らしぶりや人間模様を描いた、傑作人情絵巻シリーズ第一弾。書き下ろし時代小説。
著者等紹介
佐々木裕一[ササキユウイチ]
1967年広島県生まれ。『ネオ・ワールドウォー』(経済界)を2003年に発表し、以降、架空戦記を中心とした執筆活動に入る。2010年より活躍の舞台を時代小説に移行し、人気シリーズを数多く発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
るぅく
19
江戸時代の人情もの短編集。後味の良い終わり方、気軽に読めます。今回は「秘密」と「盗人稼業」が好きな作品でした。よくある話かもしれませんが、こういうお話は読んでいてほっとします。「あきんど百譚」となっていたのでこれから続くシリーズですね。楽しみにしたいと思います。2014/10/06
よっしー
9
佐々木さんの本と言うことで読んでみました!!江戸の町で繰り広げられる、どこか人を温かいほっこりとした気持ちにさせてくれる短編の集まりでした。個人的なお気に入りは表題作でもある「あかり」ですが、他のも捨てがたい。今のご時世、こんな風に他人を気遣える人は少ないだろうなぁ。世知辛い世の中です(笑2015/07/24
shiozy
9
江戸は武士の町であるとともに、商人職人の町でもある。本書は江戸の職人を主人公にした短編時代小説である。米つき屋、ろうそく職人、包丁屋、髪結い屋。それぞれの職人芸の記述に興味がそそられるのだが、本質は人情噺である。笑いの落とし噺よりも、ちょっと泣かせる表題作「あかり」が秀逸だ。2014/10/18
うにねこ
8
あらすじが面白そうだったので手に取った、初読みの作家さんの人情時代短編集でした。 江戸の市井で暮らす日常の中で、懸命に生きている人達の人情に涙したり、笑ったり、とても読みやすくていい作品でした。どれも面白いのですが、一話目のちょっとキュンとする恋のお話と、二話目の家族を思う気持ちにグッとくるお話、この二つは特にお気に入りです。 この作品はシリーズものだそうですが、タイトルの『あきんど百譚』のとおりに、百の人情話が読めたら嬉しいなぁ~と期待してしまいます。 次も是非読みたいと思います。2014/09/15
はる
7
江戸の町人達の日常が詰め込まれた、短編集。親友の恋愛成就に奔走する米つき屋、10年ぶりに飛び出した実家の蝋燭屋に戻り、意外にも苦しい内情を知り、ある決意をする長男。包丁を買いに来た男の自殺を止まらせようと、あたふたする包丁屋。女房の病の薬を買うために盗みに手を染めてしまった髪結。人情物からクスリと笑えるような話まで、取り揃えられている。 秘密とあかりの2作がよかった。2019/09/02
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