内容説明
背中に傷を負った筧忠兵衛は、与茂平の世話を受け長屋で養生する日々を送っていた。南町同心の岸井千蔵が、戯作者懐古堂殺しと火付けの下手人に加え、忠兵衛を襲った浪人の探索を命じられて奔走するが、手がかりは得られず焦燥を強めていく。そんな折、再び忠兵衛に向けて放たれた刺客から、すべてが動きはじめる。書き下ろし長編時代小説、話題沸騰の第五弾。
著者等紹介
芝村凉也[シバムラリョウヤ]
1961年宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。二十数年のサラリーマン生活を経て著述活動に入る。学生時代に、映画サークルでシナリオ作成に励んでいたことを突如思い出し、前職退職直前より小説の執筆を開始(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
71
返り忠兵衛江戸見聞「雄風翻く」5巻。忠兵衛さん、兄の無念を討ちはし、定海藩の暗君は隠居し、改革派の御前に変わり、浅井との決着もつき、南波屋江戸店の朝太郎も失脚し、ゴタゴタがひと区切り着いたようですね。2022/04/24
やま
67
① 総合武術の遠州立見流を遣う筧忠兵衛の活躍の物語です。四万石たらずの遠州定海藩の主君御側御用取次・神原采女正は、藩主樺島直篤から藩転覆をはかった首謀者として忠兵衛を殺すように命られる。藩主の横暴に苦しむ定海では、御前様こと前藩主の弟で現定海藩主樺島直篤の叔父樺島隆胤が、何度か藩主の失脚を企てるが思うようにいかず唯一の望みは、江戸へ逃がした我が娘の沙智と、筧忠兵衛であった。→2023/01/01
tengen
37
三人の刺客、手練れの刺客と立て続けに忠兵衛は襲われる。幾度かの真剣勝負を通じて技の高まりを自覚するも相手の技量に圧倒される。満身創痍の身体で神原に内紛で済ますのか幕閣に知れても良いのかと迫る。神原が回答として連れてきたのは兄壮太郎を殺害し、幾度も忠兵衛に刺客を送り込んできた人物、菊坂右門であった。国元では直篤は主君押込にあう。一気に定海藩は改革派のものとなり、神原は逐電。相手を失った浅井は放浪の旅へ。忠兵衛は仕官を断る。ただ南波屋江戸店の朝太郎は失脚し、本店隠居の喜六が登場。さて、次の展開は如何に。2017/12/04
ひかつば@呑ん読会堪能中
10
真っ正直な若者忠兵衛の第5弾は素浪人筧忠兵衛誕生。次に含みを持たせてはいるが、とりあえず第一部終了として纏めちゃったという感じ。主君第一のはずの宿敵御側御用取次の帰国後の行動、その後の藩の人事、前巻で登場した新たな悪役朝太郎の始末など、どれも今一つ納得がいかないな。もうひとつ、真っ正直な「武士」を貫いていた忠兵衛が浪人になったからといってアカンベーはないだろ。2012/11/27
あかんべ
6
これで終わるのか、南波屋神原組の反撃として続くのか?浅井を旅立たせたのも伏線になっていくような気もする。前巻より忠兵衛が斬られながらも頑張っていて、わたしは好きだな。色々な人物を絡めたいがページが足らないのだろう。芝村さんにはぜひ長編を期待したい。2012/06/01