内容説明
連日厳しい残暑に江戸が見舞われる頃、坂崎磐音、おこんらは尾張名古屋城下の長屋で落ち着いた日々を送っていた。折しも、磐音との稽古を望む武芸者が藩道場に現れる。どうやら田沼の刺客らしいのだが…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、著者渾身の書き下ろし痛快長編時代小説第三十五弾。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作「闘牛」以後、スペインをテーマにした作品を発表。99年、初の時代小説『密命』を皮切りに次々と作品を刊行、時代小説の旗手として高い評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ガクガク
80
尾張名古屋城下の滞在は意外と短かった。執拗な「田の字」の刺客陣の裏をかいて、広島や京に向かうと見せかけ味方からも行方をくらませた磐音ら一行の、超ハードな山岳トレッキング逃避行の巻。紀伊高野山の奥深く「姥捨の郷」に辿り着くまでが一つの山。一方、「でぶ軍鶏・やせ軍鶏」こと辰平と利次郎コンビも苦労の末、何とか磐音らに合流することができる。おこんも体力を回復し、待望の世継ぎ「空也」が元旦に無事生まれ、苦境の中で確かな光明が灯る。全体的に緊迫するシーンが続き、笑いの部分が少ない巻だった。今後の展開が全く見通せない。2014/08/24
文庫フリーク@灯れ松明の火
67
今だ旅の空の下なれど、祝着至極に存じまする。お大師さまの慈悲と加護、その身に有りますように。2011/01/14
藤枝梅安
52
尾張・名古屋に滞在する磐音一行に田沼の追手が次第にその網を狭めてくる。尾州に迷惑をかけたくないと、磐音は名古屋を出る決心をする。その後、多くの人の助けを借りながら、田沼の密偵の監視をかいくぐり身重のおこんをいたわりつつ、磐音・弥助・霧子の一行は意外な場所に向かう。速水左近は甲州勤番に左遷される。いわゆる「山流し」である。「山流し」については諸田玲子さんの「山流し さればこそ」を読んだことがあるので理解できた。諸国修行中の松平辰平は磐音の故郷・豊後関前を再訪する。そこから土佐に渡り、利次郎と再会を果たす。2011/03/10
はつばあば
44
情けは人の為ならず・・。速水左近の甲府落ちも田沼に睨まれておりながら友との別れができたのも、磐音さん一向が高野山奥深い姥捨ての郷に助けられたのも日頃の行い。無事子供も生まれました。利次郎と辰平、よくぞ磐音さんを見つけた!(#^^#)。比叡山も奥深いが高野山も凄いです(#^^#)。是非、滋賀と和歌山へいらしてください2022/03/15
TakaUP48
40
今津屋の老分・由蔵は神田明神参りの帰り大目付・大屋と出会い、速水左近が竹矢来が解け甲府勤番の山流しになると伝えた。陰ながら、由蔵他20数人の人々の別れの宴を受け速水は甲府に旅立つ。一方、尾張藩で出産する予定であった磐音たちは、意次の圧力を感じ京に行くと見せかけて霧子の隠里・姥捨の郷たどり着く。高知で一緒になった利次郎と辰平は、磐音に会いたい一念で高野山周辺を歩き回り、金剛峯寺の近くで、霧子・弥助と再会。これにて磐音一行は6人に、いや7人になったのでした!安永9年元旦に。まずは、一息つくことができました。2019/07/28
-
- 電子書籍
- メールはなぜ届くのか インターネットの…