内容説明
架空の都市アイソラを舞台にしたエド・マクベインの87分署シリーズは、1956年の『警官嫌い』以来、警察小説の代表的作品として読み継がれてきた。そのシリーズを徹底的に分析し、創作の秘密に迫っていく。マクベイン自身よりも87分署に詳しいと言われる、精緻な研究の成果をたっぷりとこの一冊に。第42回日本推理作家協会賞評論その他の部門賞受賞。
目次
87分署シリーズの30年間
レトロ的な観察
エド・マクベインと詩作
流れの移り変わり
“政治と宗教、この二つは絶対に議論しないことにしているんです”―マクベインの見た現代政治家たち
ウォーターゲートとマーサ・ミッチェル―リチャード・ニクソンの時代
“われらがボス”の問題―マクベインの政治諷刺小説
その後のクロニクル
著者等紹介
直井明[ナオイアキラ]
1931年東京生まれ。東京外国語大学インド語科在学中、南達夫名義で「宝石」の懸賞小説に佳作入選。商社に入り、カラチ、ヒューストン、ニューヨークなど海外支店に勤務するかたわら、ミステリーを耽読。とくにエド・マクベインに惹かれ、1984年に研究書『87分署のキャレラ』を刊行。さらに、日本推理作家協会賞『87分署グラフィティ』『87分署シティ・クルーズ』などをまとめる。『87分署グラフィティ―エド・マクベインの世界』で第42回日本推理作家協会賞評論その他の部門賞受賞
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
6
1950年代から半世紀に渡って続いた87分署シリーズの各作品に纏わるアレコレを綴った作品である。マクベインの主力シリーズの様々を統計的にでは無く、エピソードとして積み上げたのであるが、パソコンには疎かった世代の著者がエクセルにでも馴染んでいたら仕事は楽だったろうと思わせる。その博覧強記はそれ故に凄まじい。マクベインはシリーズ全体を出来るだけ時間軸の変化なく描こうと努めた。本著ではそれでも作品中端無く現れる、時の流れを描く。シリーズにおけるワインの登場、黒人表現のニグロからブラックへ、などはその一端である。2020/09/18
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