出版社内容情報
高校生の檸檬は、真夏のひまわり畑で小さな木彫りの蟹を拾う。可愛くて持ち歩いていると突然、蟹が喋りだし――。以後、ピンチの時は蟹が助けてくれたり、檸檬も無意識に知らない男性の絵を描いたりと、不思議なことばかり起こる。奇妙な状況に戸惑いながらも、檸檬はこの木彫りの蟹に、戦時下の昭和20年を生きた特攻兵の魂が宿っていることに気づく。檸檬は蟹を通じ、悲惨な戦争の時代、限られたわずかな時間でも懸命に恋をした若者たちの姿を知る。平和な時代を生きる私たちに「大切なもの」を気づかせてくれる青春ファンタジー。
【目次】
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる子
15
村山早紀さんの弟でアナウンサー、脚本家、演出家の村山仁志さんは『魔法の声』以来の2作目。取り柄もなく教室では浮いているJKの檸檬。ひまわり畑で木彫りの蟹を拾った事から始まった「手が勝手に絵を描く」「豪速球が投げられる」「(蟹から)不思議な声が聞こえる」なんだ⁉️それは終戦間近の昭和20年の特攻兵の彼と戦後80年の1%の未来へ繋がる不思議な物語。これは木彫りの蟹がしゃべるファンタジー?途中に出てくる三郎のモデルは村山さんのお父様。彼のその後は『午前0時のラジオ局 満月のSAGA』でわかるそう。やり方上手い!2025/08/21