出版社内容情報
雑居ビルの一室にひっそりと存在する完全紹介制のクリニック。そこに訪れるのは、教師、議員、作家……誰もが「先生」と呼ばれる人々。人生に迷い、家族に翻弄され、自分を見失った患者たちの問題に、現代医療の「グレーゾーン」を巧みに渡り歩く医師が手を差し伸べる。天才でも善人でもない、患者を選り好み、型破りな診療スタイルを貫く彼は、救世主か、それとも詐欺師か。曖昧な正義、歪む信念、こんな息苦しい時代をサバイブする勇気と知恵を詰め込んだ5つの物語。現役医師が描く、読めば心が軽くなる医療エンターテインメント小説。
内容説明
雑居ビルの一室にある完全紹介制のクリニック。そこを訪れるのは、教師、議員、作家…といった「先生」ばかり。悩み疲れて、人生に迷う彼らに現代医療の“グレーゾーン”を巧みに渡り歩く医師が手を差し伸べる。天才でも、善人でもない。患者を選り好み、型破りな診療を貫く彼は命の恩人か詐欺師か。しんどい心にじわっと効く医療脇道エンタメ小説。
著者等紹介
藤山素心[フジヤマモトミ]
広島県出身。医師。2017年、ホビージャパン主催HJ文庫大賞(現HJ小説大賞)金賞を受賞。24年、啓文堂書店文庫大賞ノミネート。一般小説から児童書まで幅広く執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
荒川叶
40
グレーゾーン、今ではよく聞く言葉。 グレーという事は時には黒に染ってしまう可能性を秘めている。黒になる前にに誰かが手を差し伸べなければいけない。だってギリギリだから。 ギリギリまで頑張って、どうしようもない絶望感。 黒にできたら楽だけど、出来ない自分がいるから辛い。 そんな時、人に真剣に向き合い話してくれる人、気持ちを隠さず話せる場所って必要。話の中で視点も変わっていく事もある。 人生は白黒を求めやすいけど、黒にならなければいい。 グレーでととどまれたならそれだけであなたは凄いって思う。2025/06/17
mayu
25
繁華街の中にある古びたビルの二階にある完全紹介制の診療所「プライベート・メディカル・コンサルタント」通称PMC。怪しげな場所に怪しげな名前の診療所の先生が観るのはあと一歩踏み外せば絶望に堕ちてしまうギリギリな人達ばかり。診療は話を聞くことであり、処方はアドバイス。追い詰められて雁字搦めになっている人達をそんな方法で?という本橋先生はグレーな方法で救っていく。あー、こんな先生に出会えたらなぁ〜ととても思う。まだまだ謎に満ちているので続編が描かれそうで楽しみな一冊。2025/06/24
akiᵕ̈
23
院長の本橋は白衣も着ず、スタッフはレセプトもこなす看護師1人だけという訳アリさんを診るクリニック。紹介されて訪れるのは、教師、議員、作家など無理難題を言ってくる人ばかり。そこに、白黒つける必要はない、人はグレーでいいんです、と言い放ち、心に秘めているものを見抜き、とんでもない対応で訪れた人にアドバイスをしていく。親との確執を抱えている相談1と4のケースは、まさにな対応!相談2と5も、その発想いかんで窮地を凌げる策。ただの医師とは違い、グレーゾーンを駆使して行き場のない人たちを救う、一風変わった医療物語。2025/06/17
Kazuko Ohta
15
このタイトルにこのジャケットだから軽くスイスイ読めるだろうと思っていました。それでも、グレーゾーンという語から発達障害を持つ医師を勝手にイメージしていたので、センシティブな話ではあるのかなと。そうしたら、そっちのグレーゾーンではなくて、医師が患者に提示する治療方法というのか解決方法がグレーゾーンそのものでした。毒親の介護に絶望したり、不祥事を起こした家族のせいで体を壊したり、「死ぬ」あるいは「殺す」ことしか考えられなくなっている人への処方箋。本橋先生は素晴らしいけど、コーラは飲み過ぎじゃないですか(笑)。2025/07/04