出版社内容情報
「憎きあいつを殺したのは……私!?」20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。通報したのは、その事件で両親を殺害された女性。だが、彼女は20年前の惨劇から逃げる際に交通事故に遭い、記憶障害を負っていた。警察の取り調べに対し、女性の殺害の記憶は定かではない。復讐は成し遂げられたのか? 最後に待つ衝撃の真相とは? 驚愕の長編サスペンス
内容説明
「憎い男を殺したのは―わたし!?」20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。自ら「殺した」と通報したのは、その事件で両親を殺害された女性・柏原麻由子。だが、彼女は20年前の惨劇から逃げる際に交通事故に遭い、高次脳機能障害を負っていた。記憶が10分しか保たない。警察の取り調べに対し、麻由子の殺害の記憶は定かでなく、供述は二転三転する。はたして復讐は成し遂げられたのか?それとも…。衝撃の真相に驚愕し、切ないラストに涙する傑作サスペンス。
著者等紹介
秋吉理香子[アキヨシリカコ]
早稲田大学第一文学部卒。ロヨラ・メリーマウント大学院にて、映画・TV製作修士号取得。2008年「雪の花」で第3回Yahoo!JAPAN文学賞を受賞。09年に受賞作を含む短編集『雪の花』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
47
記憶障害を持った女性が人を殺したと通報してきて… 真由子が記憶障害なので彼女の目線だと同じことを繰り返したり突然場面が変わったりしたけど読みにくくはなかったなぁ。2024/12/15
akiᵕ̈
35
20年前、通り魔によって両親を喪い、そこから逃げて助かった麻由子が仮出所してきたその時の犯人を殺害したと自ら110番したはいいが、その記憶が全くないという所からの展開。逃げた時麻由子は事故に遭い、高次機能障害という記憶障害になり、記憶が10分と持たないという。警察とのやり取りも全く埒があかず、これは何と大変な障害なのだろうと、これからの展開にグイグイ引っ張られていく。夫となった加害者である光治の真実、それと並行して、担当刑事である優香の母親の介護問題も絡み物語は奥深いものに。優しい人間ドラマがあった。2024/10/11
金吾
24
○すぐに記憶を失ってしまう設定で、本人が訳がわからない状態で不安に陥る部分がよく伝わり面白かったです。2025/05/07
ロボット刑事K
23
この本スゴいぜ。アルツハイマーや高次脳機能障害で記憶が保てない人の話はこれまでにも読んだことはありますが、ここまでの物語を作るなんて、秋吉理香子さん、この人なんなの、やだ、こわい。ほんの数分前の自分の行動さえ記憶に残せない。もし自分がそんな状態になったらと想像すると、身震いがします。気がついたら20年の月日が流れていて、その間のことを一切覚えていない。そんなことを何百回、何千回と繰り返すなんて。久し振りの☆5つ。ミスリードに何回も引っかかって、作家にとって非常に理想的な読者です、私は。いやあ号泣ですわ。2025/09/10
ま~くん
20
交通事故による記憶障害を抱える麻由子が自ら110番にかけた一本の電話。「ひとを、ころしました」。現場には血塗れの男の死体。刑事達の尋問も全く進まない中、殺された男が麻由子の両親を惨殺していた事実が判明。更に事件の際、現場から逃げ飛び出した麻由子を撥ねた男が今の夫光治という驚愕の事実も分かる。記憶が数分しか持たない麻由子は本当に復讐を果たしたのか?真相はいかに。介護に関する生々しい描写が何度も出てきて重たい話だった。愛する人が自分のことを忘れてしまう辛さ。今を妻としっかり生き抜いていこうと改めて自戒した。2025/10/11