出版社内容情報
歴史時代作家クラブ賞受賞作『鳳凰の船』、第二作『楡の墓』に続く、北海道開拓期を背景に描いた短編集。ゴールド・ラッシュに翻弄された人間の悲哀/「ウタ・ヌプリ」。お雇い外国人の鉱山学者ライマンが帰米後に受け取った贈り物/「費府(フィラデルフィア)早春」。日蝕がもたらした道内初の公立図書館、そこに見た少女の夢/「日蝕の島で」。新天地・樺太への玄関口が静かに見守る親子の情愛/「稚内港北防波堤」。戦争に躍らされた炭鉱の末路とささやかな希望/「小さい予言者」。いずれも傑出した五編を収録。
内容説明
歴史時代作家クラブ賞受賞作『鳳凰の船』、第二作『楡の墓』に続く、北海道開拓期を背景に描いた第三作。ゴールド・ラッシュに翻弄された人間の悲哀/「ウタ・ヌプリ」。新天地・樺太への玄関口が静かに見守る親子の情愛/「稚内港北防波堤」。戦争に躍らされた炭鉱の末路とささやかな希望/「小さい予言者」。道内在住の著者がかつてない視点で浮き彫りにした、まったく新しい北海道の歴史の横顔。深い余韻を残す五編を収録。
著者等紹介
浮穴みみ[ウキアナミミ]
1968年北海道生まれ。千葉大学仏文科卒。2008年「寿限無幼童手跡指南・吉井数馬」で第30回小説推理新人賞受賞。09年、受賞作を収録した『吉井堂謎解き暦 姫の竹、月の草』でデビュー。18年『鳳凰の船』で第7回歴史時代作家クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y.yamabuki
18
北の大地に小さな足跡を残して来た市井の人達の物語。四つの物語がその時々の北海道ならではの状況と共に語られる。ゴールドラッシュ、日蝕見物の町、炭坑街、各々の隆盛と衰退、興味深い事柄も多く、物語は温かい。好みは、お雇い外国人と教え子の絆を描いた「費府早春」と日蝕観察に訪れたトッド博士の寄贈図書とそれを発展させようとした玲子の話「日蝕の島で」。四話、通底しているのは、地に足を付けて進むこと、そして未来に繋いでいくこと。短編集ながら非常に読み応えがあった。2024/11/07
KT1123
5
北海道開拓三部作の短編集最終巻。時代は明治後半から昭和前半が中心と、比較的新しい。道北枝幸のゴールドラッシュ。フィラデルフィアから北海道の炭鉱を回想。再び枝幸の皆既日蝕と北海道初の公立図書館設立。稚内から樺太へ行きかける話。架空の炭鉱町・上空知での戦前の暮らし…。金や鰊や日蝕や炭鉱、北海道に住みながら知らない過去がたくさんあるなあと思いながら読み終えました。2024/08/24
むらかな
2
北海道の開拓時代から昭和初期の短編集。日食を観る話が好き。ダイヤモンドリングの件がグッときた。表題の小さい預言者。教科書に載っていそうな話で正体がわからない少年「タクト」との交流を通して、人生の教訓めいたことを教えてくれる。会うべき人に会っておかないと一生後悔するね。2024/09/16