出版社内容情報
世間を騒がせている半グレ集団「凶徒聯合」のメンバーが殺された。警察は暴力団や半グレ同士の抗争と見て捜査をはじめるが、それを嘲笑うかのように次々にメンバーが殺害されていく。疑心暗鬼になっていくメンバーたち。そして、犯人を持ち上げるSNSの住民たち。意外すぎる犯人と絡まり合う人間関係が驚愕を誘う、今大注目の著者による社会派サスペンスの傑作。
内容説明
世間を騒がせている半グレ集団「凶徒聯合」のメンバーが殺された。警察は暴力団や半グレ同士の抗争と見て捜査をはじめるが、それを嘲笑うかのように次々にメンバーが殺害されていく。疑心暗鬼になっていくメンバーたち。そして、犯人を持ち上げるSNSの住民たち。犯人の正体はいったい…。大ベストセラーになった『悪い夏』やドラマ化、映画化などで注目を集める『正体』の著者が「都会の闇」に斬り込む傑作社会派サスペンス。
著者等紹介
染井為人[ソメイタメヒト]
1983年、千葉県生まれ。芸能マネージャー、舞台プロデューサーを経て2017年、『悪い夏』で第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
346
期せずしてタイムリーとなった、半グレを題材にした一冊。興味深いのは、半グレ集団のメンバーも歳をとると多少なりとも丸くなっていく様子が、ありそうだなと思えるほどリアルに描かれていること。別に共感させたいわけではないのだろうが、小説として浅くならないためには重要なところ。刑事の窪塚の存在を目眩ましに使っているつもりだろうけど、あからさますぎて誰も引っ掛かりませんよ染井さん。…と思っていたら、犯人のカモフラージュというよりは、ラストで明かされる事実のための暗幕だったのか。だとしたら見事にやられた。2024/11/04
しんたろー
118
凶悪な半グレ組織のメンバーが次々に殺される…事件を追う刑事の視点を主軸にして、何人かの視点も織り交ぜた構成の社会派サスペンス。実際の事件を想起する部分もあって興味深く読めたし、テンポが好い展開でグイグイ惹き込まれた。犯人に同情し応援しながら読める内容だが、現実的な脅威に暗澹たる気持ちにもなった。少し残念なのはラスボスを成敗する部分が物足りなく感じた事と「犯人は誰か?」が容易に想像できてしまう事。とは言え、全く飽きる事無く楽しめたのは染井さんのリーダビリティが高い証拠で、映像化にも向いた良質なエンタメ快作。2025/04/03
ふじさん
96
染井為人の5作目読破。亡き弟を人違いで半殺しにした半グレ集団「凶徒聯合」をたった一人で壊滅させるハードボイルドなストリーの物語だが、内容はそんな簡単に語れるものではなかった。そこには、事件の被害者、加害者、関わった家族の姿を多角的な角度から描いた作品。「正体」同様、辛く哀しい物語が展開する。今の社会が抱えた闇の世界が、次々と明らかになり、心が痛む。「罪」と「罰」、更には今の時代、正義とは?、様々な問いが読者に突きつけれれる重いテーマの作品。天野英介の生き方をどう捉えるかも大事なテーマの一つかもしれない。 2024/08/05
ケイ
87
これは既読なのか?もしくは石神らの悪行を描いた他の作品を読んでいて、それは続編なのか?と思う事が何度もあった。いまだに分からず…。さて、復讐劇としては興味深かったが、半グレが30代後半に入り、まともに生活にむきあっているあたりに現実感が乏しく思えた。しかし、リーダビリティは相変わらず高いシリーズだ2024/07/31
H!deking
84
いやー今回も面白かった!有名半グレ組織の主要メンバー連続殺人事件。犯人は?何故?どうやって?的なお話。染井さんの他の作品もそうだけど前半は既視感あるあるの感じで斜め読みしそうになると後半でグイグイのめり込みますね。そしてラストは最高です。ちゃんとミステリーです。これもぜひ藤井道人監督に映像化してもらいたい!2024/12/12