出版社内容情報
大切な人へ、あなたが最後に贈りたいものはなんですか? 友人に先立たれた孤独な老女、祖母と喧嘩別れした女子高生、幼馴染みと結ばれなかった中年男、顧問の先生を喪った部活仲間……。依頼人の死後に届けものをするサービス「天国宅配便」の配達人が贈る心温まる感動の物語、待望の文庫化!
内容説明
大切な人へ、あなたが最後に贈りたいものは何ですか?依頼人の死後にしかるべき人の元へ遺品を送り届ける「天国宅配便」で働く七星律は、今日もバイクで配達先へ向かう。友人たちに先立たれた孤独な老女、祖母と喧嘩別れした女子高生、幼馴染みと結ばれなかった中年男、顧問の先生を喪った部活仲間…。会えなくなった人から届いた思いがけない小包みの中身とは?言いそびれた言葉と伝えられなかった想いにきっと涙があふれる。今を生きる力が湧いてくる感動作、待望の文庫化!
著者等紹介
柊サナカ[ヒイラギサナカ]
1974年、香川県生まれ。日本語教師として7年間の海外勤務を経て、2013年「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉として『婚活島戦記』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
157
依頼人の死後にしかるべき人の元へ遺品を送り届ける天国宅配便。こんな宅配便があったなら、送り先の人の住所が変わってたら、届けるのが大変だなと思いつつも、あったらいいなと思う。社長(出番少なめ)と七星は、この仕事をよく頑張ってる。もし、失った大切な人から遺品が届いたら、その人との思い出で終わらず、思いと一緒に、この先を生き抜く励みになると思う。間違いなく明日、そして次の日と毎日を頑張れる糧になりそう。どの話も良かった。涙腺がしばしば緩んだ。第3話は、宇山佳祐さんの『桜のような僕の恋人』を思い出す。2024/04/29
さてさて
140
『わたくしども天国宅配便は、ご依頼人の遺品を、しかるべき方のところへお渡しするということをしております』。結果論としての『遺品』ではなく、生前に『遺品』を託すという考え方の先に、遺された者の人生に一つの起点を作っていくという考え方を提示していくこの作品。そこには、「天国からの宅配便」という書名に相応しい物語が描かれていました。ファンタジーではないのに、ファンタジックな魅力を感じるこの作品。“人生の終わりに、誰を想い、何を遺しますか?”という本の帯に記された問いかけに、ふと遠い目になってもしまう作品でした。2024/10/20
ポチ
46
今は亡き人から届いた最後の贈り物。贈り物の訳や思い出を見つめ直せばきっとわだかまりや頑なだった心もほぐれそうですね。でも後悔しないためにも出来れば生きているうちにやり直せればいいですね。2024/07/18
よっち
44
依頼主の死後に宅配便を送るサービス『天国宅配便』。この世からいなくなったあの人が、最後に届けたかったものを送り届ける心優しい連作短編集。荒れ果てた家で独りで過ごす老女の元に届く、かつて一緒に暮らしていた二人の女友達からの小包。厳格な祖母と対立していた高校生の文香が知る亡くなった祖母の意外な本音。会社でも家でも居場所がない中年男が知る結ばれなかった幼馴染の思い。大学生の長部のもとに届いた高校時代の部活顧問からの手紙。希望を見失いかけていた人々に届く想いはとても優しくて、それぞれがとても印象に残る物語でした。2024/03/13
荒川叶
41
自分の死後、誰に何を残し、どのタイミングで渡してもらうか。それを考える過程には生きてきた過去の道をたどるしかない。そして送る相手は本当に死後なのか、今渡さなくていいのか。 もし私が死後に何かを届けてもらうとしたら、自分の思いを大切な人に届けて欲しい。物と一緒に想いものせて。2025/01/31