出版社内容情報
公安部のエリート刑事・幣原は、イスラム国関連の極秘捜査から突然外された。間もなく、息子の秀樹がテロリストに志願したとして逮捕された。妻や娘からは息子を売ったと疑われ、組織や世間には身内から犯罪者を出したと非難される。公安刑事は家庭と仕事の危機を乗りきれるのか!? 衝撃の社会派長編ミステリー!
内容説明
平和惚けした日本人を震撼させるテロ事件が勃発。中東の過激派組織「イスラム国」の極秘捜査をしていた公安部のエリート刑事・幣原は、突然上司から自宅待機を言い渡される。テロリストに志願したとして逮捕された青年は、なんと同じ家で暮らす息子の秀樹だった。妻や娘からは仕事のために息子を売ったと疑われ、警察や世間からは身内に犯罪者を出したと非難される。マスコミが家族に群がり、心身共に追いつめられる中、さらなる悲劇が―。衝撃的な結末に打ちのめされる、傑作社会派ミステリー!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。音楽から社会問題、法医学まで幅広いジャンルのミステリーを手がけ、多くの読者の支持を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
98
「公安刑事の息子がテロリスト志願者」というフレーズに惹かれ、久しぶりに中山千里の本を読んだ。テロ事件が勃発する中で、公安部のエリート刑事・幣原は、ある日突然テロリストに志願したとして息子の秀樹が逮捕される。妻や娘からは仕事にために息子を売った疑われ、警察や世間からは息子が犯罪者ということで非難され、心身共に追い詰められる中で、息子が殺害される。犯人捜しのミステリーではあるが、家族の在り方、夫婦愛や兄弟愛等がきめ細かく描かれており、いつもとは違う味わいのある作品、最後のおちはいつもながら、さすがだ。2025/02/27
ケイ
83
途中からの家族のあり方が無茶苦茶。辻褄の合う、納得できる結末がこんな後にありあるのだろうか。中山さんがいくらなんでもこんな無茶な人物造形しないだろうと心の中で突っ込んでいたところ、果たして–。そしてタイトルの意味もはっきりしてみれば、やっぱり読んで良かったと思う。2024/08/07
のり
76
公安エリートの父。その息子がテロリスト志願者として逮捕される。職場でも家庭も一変してしまう。テロリストを追ってきた身として、同じ家に住む息子の現状を把握しきれなかった。擁護すれば、世の父親なんてそんなものだろうと思う。世間の非難の目と押しかけるマスコミ。そんな中、悲劇の追い打ちが待っていた。公安マンと父親の立場で揺れ動く。家庭崩壊寸前での衝撃の事実。一生、後悔の念が残るだろうなぁ~。2024/08/09
ワレモコウ
51
公安のエリート刑事の幣原。息子の秀樹がイスラムのテロ志願兵に応募していて逮捕される。 幣原は職場での立場を失い、妻と娘も巻き込まれていく。公安として父として、板挟みに苦しむ幣原がリアルに描かれる。釈放された秀樹が夜中に家を抜け出したが、遺体で発見される。幣原は覚悟を決め、息子を殺した犯人を自ら見つけ出す。そして、ラストに真実が一つ…中山ワールドでした。マスコミや世間が、容赦なく攻め立てるさまは、現実にも起こっているのだろう。ゾッとするほどリアルだった。2025/07/19
竹園和明
40
公安警察官の息子がイスラム国の兵士募集に乗り志願した事が発覚、陰謀罪で逮捕されるという事件から始まる警察小説。処分保留のまま釈放された幣原秀樹は、両親の監視の目を盗み家から“脱走”。しかしその後遺体で発見される。…フットワークよく進む物語は疾走感に溢れ、そのスピードが弛むことがない。公安の組織論も交えながら読み手を惹きつける流れが流暢で、最後のどんでん返しも見事だった。だけど惜しむらくは、そのどんでん返しから後ろが短すぎる!。唖然としたままオシマイよ。勿体なくない⁈。2025/05/06
-
- 和書
- AMAZON密林の時間