出版社内容情報
公安部のエリート刑事・幣原は、イスラム国関連の極秘捜査から突然外された。間もなく、息子の秀樹がテロリストに志願したとして逮捕された。妻や娘からは息子を売ったと疑われ、組織や世間には身内から犯罪者を出したと非難される。公安刑事は家庭と仕事の危機を乗りきれるのか!? 衝撃の社会派長編ミステリー!
内容説明
平和惚けした日本人を震撼させるテロ事件が勃発。中東の過激派組織「イスラム国」の極秘捜査をしていた公安部のエリート刑事・幣原は、突然上司から自宅待機を言い渡される。テロリストに志願したとして逮捕された青年は、なんと同じ家で暮らす息子の秀樹だった。妻や娘からは仕事のために息子を売ったと疑われ、警察や世間からは身内に犯罪者を出したと非難される。マスコミが家族に群がり、心身共に追いつめられる中、さらなる悲劇が―。衝撃的な結末に打ちのめされる、傑作社会派ミステリー!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。音楽から社会問題、法医学まで幅広いジャンルのミステリーを手がけ、多くの読者の支持を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
83
途中からの家族のあり方が無茶苦茶。辻褄の合う、納得できる結末がこんな後にありあるのだろうか。中山さんがいくらなんでもこんな無茶な人物造形しないだろうと心の中で突っ込んでいたところ、果たして–。そしてタイトルの意味もはっきりしてみれば、やっぱり読んで良かったと思う。2024/08/07
のり
71
公安エリートの父。その息子がテロリスト志願者として逮捕される。職場でも家庭も一変してしまう。テロリストを追ってきた身として、同じ家に住む息子の現状を把握しきれなかった。擁護すれば、世の父親なんてそんなものだろうと思う。世間の非難の目と押しかけるマスコミ。そんな中、悲劇の追い打ちが待っていた。公安マンと父親の立場で揺れ動く。家庭崩壊寸前での衝撃の事実。一生、後悔の念が残るだろうなぁ~。2024/08/09
タルシル📖ヨムノスキー
32
またしてもどんでん返しの帝王にしてやられました!しかも今回は犯人だけじゃなくて真相も。簡単に言うと仕事一筋の父親と就職が決まらない息子の対立の話とも言えなくもないが、事はそう単純ではない。なにせ父親の仕事が公安の刑事、息子が志願したのは中東のテロ組織。仕事と家庭、そして正義感という名の麻薬に酔った世間という三方からの板挟みに合う主人公の幣原刑事。そして畳み掛けるように起こる悲劇。年頃の子供をかかえているみとしてはどうも他人事には思えない物語でした。幣原の妻がマスコミに訴えた言葉が胸に沁みます。映画化熱望。2024/02/20
mayu
24
公安部で働く幣原の息子がテロリスト志願の罪で逮捕される。逮捕の悲劇から職場でも家庭でも居心地が激変。公安部ではエースと謳われ、家庭でも頼りがいのある父親で尊敬されていると思っていた幣原の苦悩が全体に満ちていて読んでいて逃げたくなる。仕事仕事仕事で知らなかった家族の顔がどんどん見えれば見えるほどわからなくなっていき、マスコミや関係のない物からの攻撃に疲労感が募る。説明には衝撃的な結末とあるけれど、やるせなさが大きく心に残る一冊だった。2024/02/18
NAOAMI
18
公安エース刑事の息子がイスラム国への入国を志願?ターゲットとして追うべき対象が、国際的過激派組織から自分の息子になった。公安組織内での立場、取り囲む報道陣、SNSでの誹謗中傷。四面楚歌の中、自宅を抜け出した息子が何者かに殺される。幣原は公安刑事として翻弄され、父親としても愚弄され、ブチ切れて嫌んなる!っとなるのを、自身と向き合いながら制御し前進していく。テロの匂いが作中に感じられず、派手な捜査展開もなく、息子殺害の犯人は意外過ぎ。イスラム国志願の真実が物語の構成すら伏線にして終盤の反転となる仕掛けに驚愕。2024/03/10