出版社内容情報
1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の逡巡や決意を、瑞々しく描く。山本周五郎賞候補、2021年本屋大賞第3位に輝いた青春小説の傑作。
内容説明
夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。生徒の名にちなんで「コーシロー」と名付けられ、その後、ともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の友情や恋、逡巡や決意をみずみずしく描く。2021年本屋大賞第3位に輝いた、世代を超えて普遍的な共感を呼ぶ青春小説。
著者等紹介
伊吹有喜[イブキユキ]
三重県生まれ。中央大学法学部卒。2008年『風待ちのひと』(『夏の終わりのトラヴィアータ』を改題)でポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー。主な著書に、全国有志の書店員による「乙女の友大賞」を受賞した『彼方の友へ』、高校生直木賞を受賞した『雲を紡ぐ』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
85
高校の美術部で犬を飼っていた期間、高校生の生活を5編プラス1計6編にまとめた作品集。出来すぎの構成で、いかにも上手く組み立てられている。でも、高校生の現実の日々はそれなりに悩みがある。それを乗り越えて、前に進む。最後に、塩見優花と中瀬光司郎が結ばれそうで、とてもハッピーエンド。いつもながら感動、感激しました。2024/05/23
H!deking
75
えっとざっくりいうと、地方にある進学校に迷い込んだストレイドックのコーシローくんと、彼を飼育するために結成されたコーシロー会の面々との触れ合いを描いた、何年にもわたる連作短編集といったところでしょうか。個人的には、うーん難しいな。普通に楽しめたけどなんだろもう一捻り欲しかった気がします。2024/02/20
はっせー
65
犬好きな人や動物との思い出がある人に合いそうな本になっている!本書は高校に迷い混んだ子犬を高校生たちが育てる物語になっている。その期間は10年である。そのため育てる高校生たちも各章によって違う。高校生との関わりやその当時の時事、高校生が悩んでいることもしっかり描かれている。犬目線での文章もあるためすごく心に響く。読めて良かった!2024/07/25
ぼっちゃん
65
【2021年本屋大賞3位作品】文庫で再読。高校に迷い込んだ子犬コーシローが見た、昭和63年から平成11年の18歳の高校生の友情、恋などの描いた青春小説。様々な時代の出来事を合わせて書かれているので、あのことはこんなこともあったなと思い返しながら読めるので、様々な世代にも受ける作品だと思う。初回限定で、単行本ではカーバーに描かれていた光司朗が描いた優花とコーシローのメッセージカード付【サイン本】2024/01/14
小説を最初に書いた人にありがとう
64
伊吹作品の良さ全開小説だ。三重の高校で暮らすことになった犬のコーシローと生徒たちの話。年代毎に生徒は代わりながら物語は進む。恋愛、友情、家族との問題、学業、進路、学生時代らしい悩みを持ちながら成長し卒業していく。コーシローはそっと見守る。初代メンバーの優花と光司郎を軸に進む。読んでいて高校時代を思い出し、もっと青春すればよかったと後悔した。犬の目線からも生徒たちへの想いも書かれ、以前飼っていた愛犬も言葉が分かっていたのかもと想い、そこにも涙。伊吹作品を読み終えたときの清々しさは世界を平和にすると思う。2024/04/17