出版社内容情報
30歳の島村千鶴は、倒れて入院した叔父の桔平からしばらく家に住んで飼い猫・ユキの世話をしてほしいと頼まれる。なんとユキにはあの世とこの世を繋ぐ能力があるという。死者はユキの身を借り、その目に姿を現し、ユキが瞬きを7回する間、大切な誰かと対面することができる。突然死した老弁護士が妻と。殉職した消防士がたったひとり残した妹と。毒親に育てられた男が、実の母のように接してくれた大家さんと。それぞれの心残り解消のために、叔父から〝 仲介役〟を引き継いだ千鶴が奮闘する! 書き下ろし感動ストーリー。
内容説明
入院した叔父に代わって飼い猫のユキの面倒を見始めた島村千鶴は、ユキの特殊能力を知らされる。ユキが許せば、霊がその体に入り目の中に姿を現して、この世の人間ともう一度対面することができるという。ただしユキが7回瞬きをする間だけ。突然死した弁護士が支えてくれた妻に。殉職した消防士が高校生の妹に。毒親に育てられた苦労人が実の母親のように接してくれた大家さんに。感謝、謝罪、告白―たとえ時間は短くとも、大切な人に今こそ伝えたい。スペシャルな猫の力を借りた再会の物語。
著者等紹介
槇あおい[マキアオイ]
家族の愛情や心の機微を掬い上げる筆致に定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キナコ
24
心暖まるほっこり系。表紙に牽かれて購入。猫の目を通して一度だけ死者が生者と会えるという設定。主人公の設定も現代人に多そうなトラブルに巻き込まれててなんとも…そんな中でも過去のことよりも、未来について考え、違ったかたちでも自分の好きなことをやり続ける主人公の精神的成長が素敵だと思った。人には色んな人生があるが、死んでも会いたい人に出会える幸せが何よりも素敵なことだと思う。2024/02/24
小梅さん。
13
想いを残して亡くなった人が、瞬き7回の間だけ、猫の体に入って大事な人に会うことができる。 「お布施」として猫のユキが求めるのは1番幸せな思い出を語ること。 どの思い出も温かくて、よりいっそう切なくなる。 ちょっと生意気な美猫ユキも魅力的。瞬きを我慢してくれたり、優しいところもあるし。 千鶴の心の傷も、少しずつ癒えていく。 隣人の重雄もユニーク。実際にお近づきになるのは、私はちょっと、だけど。 もしシリーズの続きが出たら読みたい。2023/05/26
陽ちゃん
12
題名と表紙絵につられました。我が家にも白猫がいますが(オッドアイでもモフモフでもないですが…)、確かにあらぬ方を見て鳴くことがありますし、ユキのような能力のある猫がいてもおかしくないかも。それぞれのエピソードが優しくて、もっと読みたいと思っちゃいました。2023/04/19
彩り
11
椿の木が目印の古いお屋敷に住むオッドアイの白猫ユキには特殊な力があり、猫語りという。死んだあと、たった一度きり一人だけに、ユキの目を借りて話をすることができる。ただし、生きていた時の幸せなお話というお布施が必要で、気に入ってもらえればユキが瞬きを7回するまでの間だけ会うことが出来る。死んでなお会いたい人がいるという事は幸せなことだ。それが例え感謝の気持ちを伝えるためでも、謝罪でも、頼みごとでも。自分が死んだ時、1人だけ話ができるとしたら誰に会いたいと思うだろう。この先シリーズとして続きを読めたら嬉しいな。2023/03/01
JUN
8
伝えられない後悔がいちばん辛い。2023/04/02