出版社内容情報
夏目漱石、江戸川乱歩に続く、〈文豪怪奇コレクション〉の第三弾。漱石に学び、芥川龍之介と親交を結び、三島由紀夫らにより絶讃された、天性の文人・内田百鬼園。日本語の粋を極めたその文学世界は、幻想文学の一極北として、今もなお多くの読者を魅了してやまない。史上最恐の怪談作家が遺した、いちばん怖い話のアンソロジー。幽暗な魅力にあふれる百閒幻想文学の作品が満載の一冊。
内容説明
夏目漱石、江戸川乱歩に続く、“文豪怪奇コレクション”の第三弾。漱石に学び、芥川龍之介と親交を結び、三島由紀夫らにより絶讃された、天性の文人。日本語の粋を極めたその文学世界は、幻想文学の一極北として、今もなお多くの読者を魅了してやまない。史上最恐の怪談作家が遺した、いちばん怖い話のアンソロジー。幽暗な魅力にあふれる百〓幻想文学の作品が満載の一冊。
著者等紹介
内田百〓[ウチダヒャッケン]
1889年~1971年。岡山市生まれ。小説家、随筆家。東京帝国大学独文科在学中に、夏目漱石の門下生となる。大学卒業後は、陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学でドイツ語教授となり、1934年、文筆活動に入る
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。82年から「幻想文学」、2004年からは「幽」の編集長を歴任。11年『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
96
短篇15作品収録。読みたいと思いつつの内田百閒、何を読めば、と悩んでいたところこの本を見つけ読んでみた。怖い物語傑作選として編まれた一冊とのことだがなかなか面白い。さらっとした随筆のような小説で、いずれも外側の怪異ではなく、内側の恐怖を描いているのだ。始めのうちは流石にそんな風に怖くならない、と傍観した気持ちを持つのだが、自分がその場所でその行動を取った、と想像してから続きを読むと、不思議なことにどんどん物語に入り込んでしまい、恐怖に取りつかれてしまう。何度読んでも味わいがありそうな話ばかりなのも良い。2021/09/01
鱒子
79
内田百閒の恐怖アンソロジー。短編小説もあれば阿防列車のようなエッセイもあり。何が夢だか本当だか分からなくなります。恐怖かと思えば、とぼけた表現も出てきて。百閒先生はまったく食えないお方です(笑2021/07/24
がらくたどん
59
さて内田百閒③百閒といえば夢譚のように聞きかじっていたので、敢えて恐怖小説で編んだ点に惹かれて入手。三上さんの「事件帖」を読んでいて芥川絡みの話があったはずと開いてみたら、結局端から再読してしまった。怪談だって大抵は起承転結もあればどれほど理不尽でも因果・解釈も存在する。百閒百鬼は起点も終点もなく不可解な行為が反復される恐怖が味わえるのがミソ。「亀鳴くや」は芥川との奇妙な遭遇の断片が積み重なる。奇行ではないが確実に病んでいる。累積の怖さが芥川の自殺と百閒の俳句で閉じる。人が壊れて行くのを見るのは怖い。2023/10/04
踊る猫
41
百閒の怖さは、わざとらしく騒いだり叫んだりすることの内側にはない。むしろ日常で見慣れたものと思われる現象や事物が意外な顔を見せ、そこに女性や狐や……といったものが居るという、それだけのことの内にも怖さがあると喝破した凄みがあると思うのだ(デヴィッド・リンチの映画でただ単にそこに居るだけの老人がやけに不気味に映るマジックに似てるか?)。東雅夫によって選ばれたベスト・オブ・百閒は純度を増しており、どの一編も迂闊に触れられない怖さがある。私自身百閒とは長く付き合ってきたが、新たな目で読むことができ新鮮に思われた2021/07/12
まさ
29
じわじわと迫る怖さを楽しませてくれる百閒。何度も読んだ作品もあれば初めて読む作品も。ほの暗く不安定な世界なのに甘美がつき纏うから短編であってもその文章に酔い浸ってしまう。その時々の気分に合わせて各編を抜き出して何度も読めますね。2021/11/04