出版社内容情報
じめじめと降りしきる長雨、闇にすだく虫の声、おかっぱ頭の市松人形──四季の移ろいを背景に、日本人だからこそ感じる恐怖や夢と現実のあわいを描く七つの短篇。これぞホラージャパネスク、これぞ怪談文芸の神髄!
内容説明
湿った畳の古い日本家屋、黒い口をぽっかり開ける隧道、新聞紙にくるまれたおかっぱ頭の市松人形―四季の移ろいを背景に、日本人だからこそ感じる恐怖が迫る。これぞホラージャパネスク!これぞ極上の怪談文芸!
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て、作家活動に入る。2000年『幻日』でデビュー。08年『すじぼり』で第10回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やも
86
淡々と話が進んでくように見せかけて、静かに温度が下がっていくような…そしてラストに予想外のひとひねりで、もいっちょ冷や汗かかせられる✨市松人形とか、廃屋が舞台だったり、そんなジャパネスクホラー8話の短編集。閉所恐怖症の人にはキツそうな話もあり。ホラーの中にもご飯描写がサラッとあって、それがまたシチュエーションにぴったりで、さすが侠飯の福澤さん!っても思ったり😁それにしても読メの登録数少ないな〜もっと読まれていい良作だと思うんだけど👻★42022/08/14
キンモクセイ
64
「廃屋の幽霊」かつて住んでいた家が霊が出るとTVで放送された。まずい事になったと思ったら既に...「庭の音」古い一軒家に越した。庭のある生活も良いと思えたが、湿気が酷く虫ばかり出る。気持ち悪い。「トンネル」だから、心霊スポットに行くなって言ったじゃん。あれは夢か?じゃあこれは...「超能力者」超能力なんてそうそうあるもんじゃないよ。「不登校の少女」死んでも親は我が子を守りたいもの。「市松人形」捨ててある人形は気にしてはいけない。「春のむこう側」愛してるなら信頼関係は大事。じゃないと連れていかれるよ。2020/10/11
眠る山猫屋
57
裏表紙にある「ホラージャパネスク」で「怪談文芸」という文言に嘘偽りなし。グロテスクな描写は無くてもおぞましく、ショッキングな場面は控え目でも恐ろしい。日本人に強く響くであろう怪異譚。古典的な怪談に近い構成のような気もするが、古さは薄い。なぜなら、多く描かれる無気力な日常は息苦しさに押し潰されそうなリアリティだが、そこにふと紛れ込んでくる怪異は日常そのものを消失させてしまうような恐怖に満ちている。完成された怖さ。2025/03/18
のりすけ
40
ホラーとミステリが融合してて面白かった。就職決まらへん旦那さんがどんどんおかしくなっていく話は、いろんな意味で怖い。世間知らずの若い女の子がメインなのではなく、それなりの年齢のおじさんたちが怪異に飲み込まれていくのは、なんかリアル。2022/12/23
Yu。
33
古き良き怪奇幻想ミステリーやら、理屈も何も通らない只々恐ろしい着地が待ち受ける現代怪談やら、と様々なスタイルが愉しめる七つの福澤ワールド。。おもしろい!!もうどれもが何度でも読み返したくなる魅力あり‥ なかでも、主人公の精神状態が悪化する毎に屋内のニオイやジメっとさが酷くなる「庭の音」。窮地に追い込まれた主人公を更なる恐怖が襲う「市松人形」。“なぜ?どうして?”だらけなのに何故だかソコに魅せられる「春のむこう側」の三編は特に好き。。そうそう この著者って、生活苦に喘ぐ人間の姿を描くのがとても巧いですね。2020/08/12