出版社内容情報
才色兼備の姉と正反対の妹。しかし姉は、母の死、恋人との別離から過食に走り、見るも無惨な姿に変貌していく。そんな姉の世話をする妹は──(「贅肉」)。平凡な人間の、ほんの少しの心の揺らぎが、事件の加害者になったり被害者になったりする。そんな日常に潜む恐怖を描く傑作サスペンス集!
小池真理子[コイケ マリコ]
著・文・その他
内容説明
才色兼備の姉と正反対の妹。美しい姉は、母の死、恋人との別離から拒食症になる。しかしその後、すさまじいほどの過食に走り、恐ろしく太り始める。父が亡くなってからは自室にこもり、一日中食べ続ける毎日。かつての面影はどこにも見られなくなった姉の世話をする妹に、様々な感情が生まれる―(「贅肉」)。平凡な人間の、ほんの少しの心の揺らぎが、加害者や被害者になったりする。そんな日常に潜む恐怖を描く傑作サスペンス集!
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒。89年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞短篇部門を受賞。95年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で第62回芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で第47回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青乃108号
105
へえ、あの緑のタヌキ、小説も書くんだ、と、ついこの間まで誤解していた。百合子じゃなくて真理子。百合子は嫌いだけども真理子は、いいな。長編(一冊しか読んでいない)よりも短編(一冊しか読んでいない)の方がより面白い。ト書きの言葉使いが若干古くさい気はするけれど、それも何だか味わい深い。3話目の「一人芝居」の、近所で見かけた人妻に恋してしまい彼女の出した一般ゴミを持ち帰り中身を点検してしまう27歳独身男の、気持ちは解らんでもないけど駄目でしょと思いながらゾクゾクする話が最高に印象深い。真理子の短編、また読もう。2023/03/06
ゆのん
89
久しぶりの小池真理子さん。『贅肉』は人の抱える心の闇にゾッとし、『ねじれた偶像』『一人芝居』はサスペンス感が強い感じがした。『誤解を生む法則』では、良い気味とスッキリし、『どうにかなる』は、人ごとではない恐怖感が。どの話も姉妹や夫、老いやセクハラ、今問題視されている煽り運転など、どれも身近に起きそうでそういった意味で恐怖を感じさせるものばかりだった。472019/02/09
佐島楓
67
すごくシンプルなプロットだが、それに肉付けしていき仕上がった作品のまあ怖いこと。皮肉がきいた作品が多いのが特徴。女性視点で恋愛が絡む短篇がこの頃から洒脱。2018/12/17
タイ子
63
サクサク読めてゾワリとさせる小池流アブノーマルサスペンス。表題の「贅肉」は家族の死のストレスで過食症になりどんどん太り始めた姉。あなただけが頼りよと言われても見るに堪えない姿。恋も諦めざるを得ないのか、妹は将来を憂う。そして・・・。主人が連続強姦殺人犯みたいなのと親友から相談された女性が正義感いっぱいに行動を起こす話。ストーカーまがいの行為がとんでもない事になる男の話など。どれも人間の裏にひそむ歪んだ心理をついた5つの短編集。面白かったです。いやぁ、道を間違った人間は怖いですね。2019/02/16
Shoji
59
小池真理子さんの書くサスペンスはとても面白いです。大好きです。この本は5話の短編集。どのお話も、始めはほんの少しの考え違い・勘違い・思い違いに過ぎませんでしたが、物事は輪をかけて、悪い方向に悪い方向に巡っていき、どうしようもない所まで転げ落ちていきます。さすが小池真理子さんの真骨頂だと思いました。しかし、人間というものは一度、道を踏み外すと落ちていくのは早いものですね。しかも、道を踏み外すのはほんの些細な勘違いから、、、怖い怖い。2019/01/20