出版社内容情報
緑川千春は食品メーカーの子会社の広告代理店に働く37歳。仕事や恋愛に心をすり減らされる日々に、疲れはもう限界だ。
かつての恋人が教えてくれた、千春のとっておきの癒し場所、日本酒バー『drop』。お店で出会った人々との交流の中で、千春は新しい道を探し、進んでいく。『残花繚乱』、小説版『?を愛する女』で話題の著者による、自活する女性の苦悩、決断、努力……それに伴う内面の葛藤を丹念に掬いとった長編小説。
岡部えつ[オカベ エツ]
著・文・その他
内容説明
緑川千春は広告代理店のデザイナーとして働く37歳。人手不足による残業、配慮のない上司たちに限界を感じ、なかば衝動的に会社を辞めることに。しかし、待っていたのは想像以上に厳しい現実だった。そんな千春を癒やしてくれたのは、音信不通のまま関係が途切れたかつての恋人が教えてくれた近所にある日本酒バー『drop』。マスターや、店で出会った人々との交流によって千春の人生は少しずつ変化していき―。人生の岐路に立つ女性の姿を丹念に描いた長編小説。
著者等紹介
岡部えつ[オカベエツ]
1964年、大阪府生まれ。群馬県育ち。2008年に第3回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞し、翌年に受賞作を表題とした短編集『枯骨の恋』(文庫化にあたり『夢に抱かれて見る闇は』と改題)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつにゃん
22
休日のファミレス。ドリンクバーで何度も紅茶をおかわりしながら一気読み。主人公の女性と状況は全く違うけど、とても共感してしまった。途中苦しくなり、後半涙まで溢れたけど、苦しみを乗り越えて再生していくこの主人公がとても清々しくみえた。私も頑張ろうと思える前向きでさわやかな読後感。2019/01/12
マッピー
18
頑張っても頑張っても増え続ける仕事。それを見て見ぬふりをする上司や、自分のことしか考えない同僚。そのどれもが、ものすごく煩わしい。最終的にみんなふわふわといい感じに着地したように見えるけど、千春も聖子もマスターも、将来の見通しは全くもって不透明だからね。しがらみからフリーになったって、日々の生活っていうのからは逃げることはできないのだから。なんていいながら、一気読みですよ。できない理由なんていくらでも考えられるけど、とにかく一歩を踏み出したことを、とりあえずは評価したいと思うわけです。2018/12/19
のんちゃん
16
広告代理店のデザイナーの千春は37才独身、年下の恋人あり。職場の過重労働や上司との軋轢で退社。しかし、なかなか次の仕事は決まらず、恋人との間もギクシャクする。そんな彼女の心の拠り所は、以前、かなり年上の昔の恋人と行った日本酒バーだ。ここに集う人々と関わり、彼女の人生は変わって行く。題名のフリー!とは、自分を解き放つ事。バーのお客さんの一人、聖子さんのパワーに魅力を感じた。普通の人の普通の人生にもドラマは散らばっている。晦日の窓から外を眺めながら、そんな事を感じた一冊。2018/12/30
GORIRA800
9
恋、仕事、ひとつのテーマに縛られることなくひとりの大人の女性の生き様をえがいた作品です 失敗や不満こそあるものの前進しようとするその姿は読んでいて活力をもらえます 不満とかばかり書かれてるわけじゃないこの大人の小説は作風として好印象でした2020/10/26
せいこ
8
主人公の女性がほぼ同年代で独り身。職業も似てるので、思わず手にとってしまった一冊。ある程度長く働いてると、一度はこんな転換期が訪れますよね。 社内では扱いづらいと思われているの分かっているけどもいつもトゲトゲしてて。会社辞めてやる!と本当に辞めても次がまったく見つからない。うん、分かります。しかし主人公はちゃんと道を切り開いた。そこは励みになりました!さてわたしは、、、2018/08/25