出版社内容情報
眉村 卓[マユムラ タク]
著・文・その他
内容説明
外との接触を拒むかのように、町の入り口に位置する「峠」。就職し赴任したひなびた町で、閉塞感に包まれながら、若き日々を過ごした男は、久方ぶりに町を訪れた際に、「峠」で不思議な感覚にとらわれる―。長年活躍し齢八十を超えた現在も健筆をふるう著者の自伝的要素を含む「峠」ほか、人生の夕焼けを生きる者たちの存念や悲哀を物語に綴った、渾身の書き下ろし短編集。
著者等紹介
眉村卓[マユムラタク]
1934年大阪生まれ。大阪大学経済学部卒。サラリーマン生活のかたわら、60年、SF同人誌「宇宙塵」に参加。61年「SFマガジン」第一回SFコンテストで「下級アイデアマン」が佳作入選。63年、処女長編『燃える傾斜』を刊行した後、コピーライターを経て65年より専業作家となる。植民惑星を舞台にし71年から執筆を開始した司政官シリーズの長編『消滅の光輪』が、79年に第七回泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
27
☆3.5 書き下ろし短編が26。高齢男性が主役の話が大多数。その年齢だからこそ達観しているというか今更慌てることはない、ゆったり構えて残りの人生をこなそう感が随所に。ものすごく面白いわけではないけどものすごく退屈なのでもなく、ずっと平常心で読める。ストレスがかからないから読み疲れはしないよ。2022/07/06
ぜんこう
21
主人公は全て70歳超えの男性。SFテイストのある不思議は話ばかり。 この年代の主人公プラス不思議な話・・・なんか死後にみんなの不思議な体験を集めて本にしたのがこの世で発行された感じ(^^;) 意外と著者の実体験も語られてるのでは?と思ってしまう。 でもオチのある話かと期待すると裏切られます。2019/08/16
ひさか
7
2017年12月双葉文庫刊。書下ろし。26の短編。最近の眉村さんらしい、肩の力が抜けているというか、まんま不思議を語る書下ろしが読めて良かったです。インパクトは少ないのですが、頭の片隅に残ってしまうところが楽しい。2018/02/28
hirayama46
5
眉村卓の晩年の作品集。ショートショートサイズの短編も多いですが、どの作品にも眉村卓本人の心象が前面に押し出されており、ファンタジー的な要素のあるものも多いですが、それも含めて連作私小説の趣がありました。老いや死を間近に迫ったものと認識して、穏やかに受け止める姿勢はかくありたいものですね。2022/01/25
ちゃーりー
5
老齢になって湧き上がってくる境地が物語として書かれている、これに共感できる自分は認めたくはないがもう十分に老齢、好みは「峠」です。2019/04/22