出版社内容情報
根本聡一郎[ネモト ソウイチロウ]
著・文・その他
内容説明
「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい。そのための手段は問わない」大手広告代理店・電央堂の就職試験を勝ちあがった大学生8名。彼らに課された最終選考の課題は、宣伝によって仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを争うゲームだった。勝敗の行方やいかに、そしてこの最終選考の真の目的とは?電子書籍で話題の問題作を全面改稿して文庫化!
著者等紹介
根本聡一郎[ネモトソウイチロウ]
1990年生まれ。福島県いわき市出身。東北大学文学部卒業。Kindleダイレクトパブリッシングで発表した電子書籍『プロパガンダゲーム』がKindle全体ランキングで2位を獲得し、2017年に双葉社より紙書籍化。同書は2022年に舞台化される。著書に『ウィザードグラス』(双葉社)、『宇宙船の落ちた町』(角川春樹事務所)、『人財島』(KADOKAWA)、『スウィンダラーハウス』(祥伝社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
424
楽しい一冊。コンパクトなので一気に読める。政府側とレジスタンス側の双方に見せ場もあり、スリリングな展開が続くのでダレない。難点をあげれば、登場人物も口にするように、スパイの設定の意図がわからず、完全に物語の都合なこと。この手のゲーム形式の作品では、説明されない攻略法があったりして、そこを突いての逆転劇がカタルシスになるのに、いたってストレートな展開なこと。そして、完全に売り手市場である現在にこの就活?という違和感。樫本の人物設定で、男女差別ではないにしろ、こういう企業のやり方に従うかな?という疑問。2018/06/16
ナイスネイチャ
143
広告代理店の最終入社試験が仮想国家での戦争推進派と反対派に分かれ、国民に真意を問うゲームを行う。最終的にマスコミに踊らされている国民の様をみて怖くなりました。2018/06/26
納間田 圭
134
重要なのは何が事実なのかではなく、何を事実だと思わせたいか。ほんの2時間。ある人気マスコミ企業の新卒採用テストの模様。最終選考まで残った8人が…くじ引きで2つのチームに分けられた。政府側4名とレジスタンス側4名が…報道、情報、統計データ、SNS、演説、扇動アクションを駆使。戦争賛否の是非を問う宣伝合戦。ただし両陣営4人中の誰か1人が潜入スパイ。最後に100名の一般市民が投票し…戦争賛成が多数であれば政府チームの勝利、戦争反対であればレジスタンスチームの勝利。そして当然その結果が彼らの採用可否に直結する約束2022/06/08
keroppi
85
大手広告代理店の最終入社試験は、仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを争うゲームだった。4人ずつ政府チームとレジスタンスチームに分かれて情報戦を行う。2017年に出版された本だが、どうしても今のウクライナ情勢を想起してしまう。ここで扱っているのは、広告代理店とメディアの問題点なんだろうが、現実に戦争を見て、プロパガンダの怖さに接している現状からすると、ゲームでよかったねという感じ。情報操作は、ほんとに怖い。2022/06/09
masa
84
"The war to end war" 譲らない正義のもとで繰り返されてきたプロパガンダ。『平和を守るための戦い』というパラドックス。人はいつだって正しいことよりも、正しい雰囲気を好む。僕は自らが血を流す覚悟がない人間の「戦え」には従えない。深刻なまでに緊迫感を欠いたまま戦うことの議論が繰り広げられる現代。殴られたら痛いんだよ。家族が殴られたらもっと痛いんだよ。何かを悪者に設定して叩きのめせば平和がやってくるほど単純ならば、世界はとっくに楽園だろう。弱者を犠牲にするのではなく救う。正義とは優しさの筈だ。2018/12/04
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