出版社内容情報
宮下奈都[ミヤシタ ナツ]
著・文・その他
内容説明
「逃げ切って」。贈賄の罪が発覚する前に、望月正幸を浮気相手の女性社員が逃がす。告発するのは自分だというのに―。正幸が失踪して、残された妻、ひとり娘、姉にたちまち試練の奔流が押し寄せる。正幸はどういう人間だったのか。私は何ができたか…。それぞれの視点で語られる彼女たちの内省と一歩前に踏み出そうとする“変化”。本屋大賞受賞作家が、人の心が織りなす人生の機微や不確かさを、精緻にすくいあげる。正幸のその後とともに、予想外の展開が待つ連作形式の感動作。
著者等紹介
宮下奈都[ミヤシタナツ]
1967年福井県生まれ。2004年「静かな雨」で文學界新人賞佳作に入選。『羊と鋼の森』は、「キノベス!2016」第1位に輝き、さらに「2016年本屋大賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
479
非常に好みなモチーフと構成。これまでで宮下さん、個人的ベストかも。2019/07/01
三代目 びあだいまおう
376
本を閉じたとき、なんだかとても満ち足りた気持ちに、確かになりました。帯の『ずっと読みたかった物語を自分で書きました』というメッセージに、私は一層宮下奈都さんと作品を好きになった!人は皆、過去の失敗や後悔を背負い続け、その為にまだ来ぬ未来を思い悩む。逃げたら敗けだ、逃げちゃいけないと常に自分を鼓舞する。辛くなるのがわかってるはずなのに!この本は『生きること』を短編の中で描きながらこう教えてくれる❗『逃げることこそ前に進む原動力なんだよ、だから逃げてもいいんだよ』と! 心地よき余韻に題名の『、』が響く‼️🙇2019/03/04
しんごろ
324
自分が今まで読んだ宮下奈都さんの作品では異質な作品に感じましたが、個人的には面白かったですね!どの登場人物に感情移入するかで、この作品にハマるかハマらないかは別れそうです。正幸がなんとなくだけど、一瞬だけ島耕作に見えた(苦笑)最初から引きこまれて、第三話から、ますます引きこまれました(^^)テーマは「逃げる!」決してハンターに追いかけられるわけではないよ(笑)時系列というか、時間をいかした良作です(^-^)2017/07/02
starbro
300
『羊と鋼の森』に続いて、宮下奈都、2作目です。『羊と鋼の森』の印象とは、かなり異なり、イヤミスっぽい感じの連作短編集です。登場人物も善人が少ないような気がします。文庫の解説や皆さんの感想ほど、読後感は良くありませんでした。次は新作の『静かな雨』を読む予定です。2017/02/16
さてさて
274
「たった、それだけ」。人によって大切なものはそれぞれです。他人から見たらたわいのないことでも、その人にとっては譲れない一線である場合もあります。また『たった、それだけ』と言われてしまって、その人が初めて気づくこともあります。他人から見ればそう思えることでも、それだけで生きていける人もいる。幸せになっていける人がいる。『たった、それだけ』のことにかける人それぞれの想い。全く予想外の展開と、結末のあまりの唐突さに少し戸惑うものの、その先に未来が見える、その先に未来が続いていくと強く感じさせるそんな作品でした。2021/07/25