内容説明
おいしいと評判のレストラン「ハライ」に、同じ時に訪れた6組の客の物語。仕事に納得がいっていない。認知症の症状がではじめた。ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない。人の失敗の匂いをかぎとってしまう―「足りない」を抱える事情はさまざまだが、前を向いて一歩踏み出そうとする時、おいしい料理とともに始めたい。決心までの心の裡を丁寧に掬いあげ、本屋大賞にノミネートされた感動作。
著者等紹介
宮下奈都[ミヤシタナツ]
1967年福井県生まれ。2004年「静かな雨」で文學界新人賞佳作に入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
355
美味しくて評判のいいレストラン『ハライ』に同じ時に予約して訪れようとする6組のお客のお話!美味しい料理を食べてほっこりする話かなと思ったら、違いました(^^;)予約5の話がほっこりしてて好きですね(^^)人それぞれ想い、悩みを抱えて美味しい物を食べに行くのだなと感じました(^^)個人的には料理の味や食べて美味しいというシーンがほしかったかなと思いますf^_^;BGMにはもうホルストで決まりですね(^^)ああ『ハライ』に行ってみたい!(^o^)2016/04/03
さてさて
345
『晴れ』を意味する言葉だという『ハライ』。みんなが憧れるレストラン。そんなレストランに10月31日の午後6時に赴く人達の物語。何だか取り止めのない、まとまりのない話が展開していくようにも感じますが、この作品は最後の最後の場面で悩んでいる人が一歩前に進むためのヒントをくれます。仕事で失敗をして落ち込んでいる時、取り返しのつかないことをしたと苦しんでいる時、そんな時に、この「誰かが足りない」という一見すると不安定なこの書名の意味するところが、少し違う視点から優しく声をかけてくれる、そんな作品だと思いました。2021/06/22
ミカママ
336
その日、その時間、「ハライ」という評判のレストランに予約を入れた6組は、それぞれに事情を抱えていた...喪失と再生の物語。短編集なんだろうけど、まとまりとしてはひとつの長編、というか。宮下さん、だんだん私の好きな作風になっていくよう。2017/05/27
三代目 びあだいまおう
320
10月末日の午後6時『ハライ』という名の美味しいと評判のレストランでは、誰かを待っているように寂しげな6人の孤独客。それぞれの『待ち人』との思い出に浸る。恋人、夫婦、幼馴染み、兄妹、店のお客、見ず知らずの他人···。人は一人では生きていけない。誰かとの関わりこそが生きるよすが。『共感してくれる人の存在は大事だと思う(中略)誰かに笑ってもらえたら、さっと気が晴れたりすることも~(本文)』ちょっとした勇気、閉じ込められた苦しみから一歩、ほんの一歩踏み出す勇気。想う心。ちょっとの繋がりが嬉しい連作短編集‼️🙇2020/08/23
SJW
305
2012年本屋大賞ノミネート作品。駅前広場に面した美味しいと評判のレストラン「ハライ」に同じ時に訪れた6組の客ごとの短編集。様々な問題を抱える人々が少しずつ前向きになり、足りないことを悲しむばかりではなく、足りないことで、未来に向けての希望で充そうとするというエピソード。それぞれの悩みはかなり重く、読んでいると気が滅入ってしまうが、僅かなきっかけで前に進もうとする姿勢に心が暖まる。この「ハライ」でお腹も心も満たして明日からの再出発に望んでもらいたい。自分にとっての「ハライ」は特に決まっていないが、今後、2018/02/22
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- 和書
- 太陽と毒ぐも 文春文庫