内容説明
星野一彦の最後の願いは何者かに“あのバス”で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」―これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。特別収録:伊坂幸太郎ロングインタビュー。
著者等紹介
伊坂幸太郎[イサカコウタロウ]
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞を、「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。08年には『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
944
これまでに読んだ伊坂作品(まだ少数なのだが)の中では最も荒唐無稽にしてエンターテインメント性の高いもの。まずは何よりも身長190cm、体重は200kgの繭美という超弩級のヒロイン(?)の存在。そして、普通のサラリーマンのはずの一彦に5人もの個性的なガールフレンドがいるという設定。もっとも、それは伊坂氏の理想の女性を5人並べてみたというこに過ぎないのかも知れないが。「あれも嘘だったの?」(表現はそれぞれに異なるが)に始まる小説の展開は実にスピーディ。その推進力に読者はいつしか伊坂ワールドに取り込まれてゆく。2017/03/25
ehirano1
749
こういうの好きだなぁ。各章が最終章できちんと纏る連作短編。1つ1つのエピソードは深刻ながらもウイットに富んでおり(本作は、爆笑モノでしたが・・・)、読後は爽やかな余韻に浸りました。エンディングもこれがベストではないでしょうか。バイクのエンジンは掛かったのか?バスの正体?それは読者各々で分かれるのではないでしょうか。その方が良いですよ、きっと。2017/09/02
トゥクトゥク
497
この小説は繭美につきますね。最後の章が素晴らしすぎる。伊坂幸太郎さんの作品からはいつも、登場人物に対する作者の良心を感じられますが、今回は、それらが凝縮した結晶のような名シーンだったと思います。読み終わったとき、いつかまた読もうと読者が思う小説は幸せだと思う。これがそうでした。2013/04/01
ダイ@2019.11.2~一時休止
435
どうしても繭美がマツコデラックスに変換されてしまう作品。女性陣のキャラがイイ。2014/06/06
にいにい
409
設定の妙。死ぬ前や二度と会えぬ事態を前にして、愛した人に別れを言いに行くというベタな内容似、別れるべき愛人が多いこと、別れを告げに行くのに、特異な監視役がつくことを絡め、愛人との思い出や監視役の心の変化が、小気味良い。2013/08/01