内容説明
十代の三姉妹が「るり姉」と呼んで慕うるり子は、母親の妹つまり叔母さん。天真爛漫で感激屋で、愉快なことを考える天才だ。イチゴ狩りも花火も一泊旅行もクリスマスも、そして日々のなんでもない出来事も、るり子と一緒だとたちまち愛おしくなる―。「本の雑誌」2009年上半期エンターテインメント・ベスト1に輝いた傑作家族小説。ラストの静かな感動が胸いっぱいに広がる。
著者等紹介
椰月美智子[ヤズキミチコ]
1970年神奈川県生まれ。2002年『十二歳』で第42回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
射手座の天使あきちゃん
283
姪っ子からも憧れと親しみ、そしてちょっとだけ軽~く見られて「るり姉」と呼ばれる「るり子」 天然系で破天荒、そして天真爛漫? いいですねぇ(笑) 最初は深刻なムード満々だったので最後「えっ?」、「なに? そんな展開ありですか? パンチだぞぉ!」って感じですよ ファスナー全開で頑張るお母さんが好きぃ!<(^_^;2013/09/14
takaC
280
刊行直後に買った単行本は依然未読のまま先に文庫を読んだ。タイトルになっている「るり姉」が一人称の話はなく、姪姉妹長女、姉、姪姉妹次女、夫、姪姉妹三女の各生活にいかに「るり姉」が絡んできたかという連作短編集。良い話だったけど、るり子が悪い病で命の危機という演出は要らなかったな。あまり効果的でもなかったし。2015/11/23
めろんラブ
240
日々の暮らしに宿る愛しさを、瑞々しい筆致で映し出しています。るり姉の生き生きとした言動が魅力的で、それに影響を受けたり惚れ込んだり振り回されたりする家族の気持ちに同化して楽しめました。中でも、るり姉の姪にあたる三姉妹の心のありようが実にリアル。苛立ち、切なさ、不安・・・思春期の揺らぎが鮮やかです。生きることの尊さが素直にてらうことなく描かれていることから、小~中学生向けの作品のように感じましたが、澱みのないすがすがしい読後感をお求めの大人の方にもおすすめの一冊です。2013/11/28
fukumasagami
147
「るり姉」 みやこが声をかけて、るり姉はみやこの目を見つめた。 「あたしさ、髪の毛黒くしてストパーかけるから」 あたしはびっくりして、みやこを見る。るり姉は唇の端を少しだけ持ち上げて笑って、腐った赤キャベツ、と小さな声で言った。 「たのしみにしててね」と、みやこが真顔で言う。るり姉はうれしそうにうなずいた。2013/06/15
milk tea
123
読み終わった後がとても心地よいお話でした。第1章でるり姉がどうなっちゃうの?と心配で心配で…。第5章でドキッ。やっぱりるり姉だ‼︎ カイカイの「幸せじゃなくていいです。どうか、ふつうでいられますように。」の言葉が胸に染みました。私の人生もそうでありたいと思いました。2018/03/10