内容説明
見た目は「太ったチャップリン」の謎めく男、林茶父は神出鬼没。変死事件にたびたび遭遇して、犯人と、犯人が隠匿しようとした事実をカラリと鮮やかに暴いてみせる。普段はおかしみのある雰囲気でも、洞察鋭く、奥に潜む真実にたどりつく。さあご覧あれ、類い稀なる見事なロジック!全六話のうち三作が日本推理作家協会や本格ミステリ作家クラブ編のアンソロジーに入った傑作ミステリー短編集。遊び心もたっぷりで、凝った趣向にニヤリだ。
著者等紹介
乾くるみ[イヌイクルミ]
1963年静岡県生まれ。98年、『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
161
短編ミステリー集ってとこですかね。 どの話も、ロジック的で楽しく読めます。 でも、短編だからか、どうも、あっさりしてて、後日譚を読んでいるような感じです。 へえ、そんな事があったんですね。って感じです。 ちょっと時間ができた時に読むのがいいかな。 2021/12/02
サム・ミイラ
116
評判の良い本格推理物ということで購入。第一話の入り方は自然で良かったと思う。二話目も展開にはあまり無理がなくまずまず読めた。だがそれからは行く先々で殺人事件が起きて警察そっちのけで主人公が謎解きをして終わり。動機等は基本必要でなく、クイズやパズルのように犯人や殺害方法の謎解きを楽しむのが本格推理小説といってしまえばそれまでだが、私には合わないと悟った。ゲームの題材の為に人があまりに意味もなく感慨もなく簡単に殺されてしまうような小説はもう読まないだろうと思う。2014/11/18
chiru
95
チャップリンの風貌をした奇術マニアが、探偵役を買って出る6つのお話。 基本形は、容疑者が限定されるクルーズド・サークル。 ひねりすぎず、かといって簡素すぎない絶妙な密室殺人事件を『小道具』『伏線』『事件発生』『謎解き』のフローで解決。 わたしは「五つのプレゼント」が好み。 15年前の『恋愛×冤罪×爆死事件』の二重仕掛けにびっくり。『一巻の終わり』はタイトルに絡めた遊び心に思わず笑顔。『イニラブ』の作者らしく、緻密に計算しつくされた構成に拍手したくなる一冊。 ★3.52019/02/01
セウテス
88
【林四兄弟】シリーズ第2弾。容姿はポッチャリしたチャップリン、林家三男茶父が主人公の6短編集。特徴としては論理的に推理する謎解きに、徹底的にこだわっている事だ。更には、作者の遊び心のセンスなのか、短編のタイトルを6、5から2、1とカウントダウンにしている。正直苦労したであろうと思うし、最後の「一巻の終わり」は泡坂氏の作品を思い浮かべる。伏線から真相を全て明らかに出来る作品ではなく、茶父が論理的に思考する過程を楽しむ作品だと思う。あくまで可能性を推理する事が楽しい訳で、あーだこーだと良き時間を過ごせました。2020/07/23
りゅう☆
85
太ったチャップリンのような林家三男茶父が六つの殺人事件の謎を解く。初めて出会った者同士なのに翌日死体発見、15年前の大学時代の男女爆死事件、マジック好き外国人教授が殺され、間違って届いた手紙と留守電が謎の死、いたずら大好き名士の掛軸からくり殺人事件、読みかけの本とアリバイが交差した作家邸での殺し。とにかく本格的なロジックに???となりつつもイラスト付きなのは有難い。神出鬼没に現れ、突然謎を解く茶父って一体何者?見た目と論理力のギャップがナイス。いつの間にか作中と現実がリンクするって乾さんの手法もニクイね。2022/04/04
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- 和書
- 『老子』河注・王注全訳解