内容説明
私たちはたくさんの愛を贈られて生きている。この世に生まれて初めてもらう「名前」。放課後の「初キス」。女友達からの「ウェディングヴェール」。子供が描いた「家族の絵」―。人生で巡りあうかけがえのないプレゼントシーンを、小説と絵で鮮やかに切りとった12編。贈られた記憶がせつなくよみがえり、大切な人とのつながりが胸に染みわたる。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞
松尾たいこ[マツオタイコ]
広島県生まれ。第16回ザ・チョイス年度賞鈴木成一賞受賞。その他、雑誌・広告・CDジャケット・ファッションブランドにも数多くの作品を提供(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
277
『私たちは膨大なプレゼントを受け取りながら成長し、老いていく』という私達の人生。一見全く繋がりのない12の短編がまるで人が生まれてから亡くなるまでを描いた一編の大河小説を読んだかのような読後感に包まれるこの作品。各短編に絶妙なタイミングでアクセントをつける松尾たいこさんのイラストが登場するこの作品。角田さんと松尾さんから文字と絵の素晴らしい贈りものをいただいたこの作品。自身が受け取ってきたものを思い起こすと同時に、自身も素敵な贈りものを送ってあげられる人でありたい、そんなことも考えさせてくれた作品でした。2022/05/05
優愛
245
青い花が控えめに飾られたウェディングヴェールを結婚式の日に友人が届けてくれる「ヴェール」と、人生の最期をこの上ない温かさで描いた「涙」がお気に入り。涙を天気雨と、陽を笑顔と例える所に著者の優しさを感じます。最初のありがとうから最期のありがとうで幕を閉じる本書はまるで人生をなぞるような不思議な感覚。形の有無に関わらず私はプレゼントを受け取っていたんだね。名前も愛も全て。幾銭の星にも似たプレゼントの数々があって今の私がいることを再確認できました。大切な人へとっておきの包装を施して"プレゼント"したい一冊です。2015/01/24
テンちゃん
220
『あの日あの時貰った最高のプレゼント❣』(๑´ڡ`๑)『忘れかけていたあの瞬間が短編12の作品の中で光輝く!』⇨『生まれた時に貰った名前は人生の中で最高の宝物❢』(o´∀`o)『人生を歩んでいく過程で訪れる恋!初キス』(^_-)-☆『人生最大のイベント!結婚!』⇨『大切な人との繋がり』(>へ<。)『ありがとうの一言』⇨『傑作作品❢』☆(⌒_⌒)4.72016/04/02
kishikan
174
生まれてから死ぬまで、人は幾つプレゼントをもらうのだろう。僕はこれまで幾つもらって、これから死ぬまで幾つもらえるんだろう。挿絵を書いた松尾さんの後書に、女性が一生のうちにもらう贈りものが本のテーマとあった。確かにこの本女性が生涯にもらうプレゼントの話だけど、最後の「涙」の話なんて、きっと男の誰が読んでも胸が一杯になるよね。角田さんずるいよ、こんな素晴らしい話を書くなんて。誰かに一番心に残るプレゼントは?と聞かれたら、僕は何も思い浮かばず困ってしまうけど、「うに煎餅」のような経験をしたら一生心に残るよなあ。2012/06/29
*すずらん*
160
いつか想像していた未来と今が違っていたって、こんな私だって悪くない。そんな風に思える、素敵なプレゼントを戴いた気分です。だからきっと 今想像してしまうあまり良くない未来だって、意外と違う形をしていて、そう悪くはないのかもしれない。まだ出会えていない人達と傷付けたり支えられたり、笑わせたり怒られたりしながら、いくつものプレゼントを送り・もらい、そして最期にみんなからのホタホタ降るお天気雨の中で、私もありがとうという贈り物をしたい。形あるプレゼントではなく、その人の記憶を彩られる様な色を描きたいと思いました2013/09/26