内容説明
記録的な大雪にあらゆる都市機能が麻痺するなか、汚職疑惑の渦中にある大物政治家の孫娘が誘拐された。被害者宅の至る所に仕掛けられた盗聴器に、一歩も身動きのとれない警察。追いつめられていく母親。そして前日から流される動物たちの血…。二転、三転の誘拐劇の果てにあるものとは!?連城マジック炸烈の驚愕ミステリー。「このミステリーがすごい!」2003年版・第7位。
著者等紹介
連城三紀彦[レンジョウミキヒコ]
1948年愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。78年に『変調二人羽織』が第3回幻影城新人賞に入選しデビュー。81年『戻り川心中』で第34回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。84年『宵待草夜情』で第5回吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で第91回直木賞を受賞。96年『隠れ菊』で第9回柴田錬三郎賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サム・ミイラ
90
頁数の割に読了まで時間がかかりました。ああ疲れた。謎だらけなんだけど謎はなかったような誘拐事件。だれが被害者かそしてその動機が焦点なんでしょうけどねえ。オチに納得は出来るけどそもそも誘拐とは拉致して監禁しその家族を脅迫して身代金なりを強要する犯罪。拉致がないのに誘拐なのか?最後まで引っ掛かったままでした。動機というか目的は最後に分かるけどそれならこんな事をする必要があったのか。そこに突っ込んだ後に支援者が声明を出せば良かったのでは。でもあまり深く考えたくない作品でもありました(笑)2015/06/18
ばりぼー
54
雑誌「幻影城」出身で、大変思い入れのある方でしたが、残念ながらこの10月に胃癌で亡くなられました。追悼の意味で手に取りましたが、二転三転する誘拐事件のアイデアは秀逸で、人間ドラマとして読み応えがあります。バツイチの刑事に「俺の結婚生活は身代金を毎月払っていたようなものだ」とつぶやかせるあたりは、連城さんの面目躍如といったところです。2003年度版の「このミス」で7位になっていますが、濃密というか冗漫で大仰な文体は好き嫌いが分かれそう…。連城さんは引き締まった短編でこそ、本領を発揮するタイプだと思います。2013/12/10
KAZOO
41
私は非常に好きなのですが、結構肌に合わない人もいると思います。誘拐事件を扱った作品は著者のほかの作品でも読めますが。このような題名をつけたわけもわかります。ミステリー分野ではなくサスペンスものといったほうがいいのでしょう。2014/10/18
りんご
40
情報量が満載でした。人って「喋ってること」と「思ってること」は違うこともよくあって、しかも「思ってること」は同時に別のことをチラッと考えたりもするわけです。それを全部書くとこういう感じの本になるのかなー。幼女が誘拐されたのでは?と警察、幼女母、近所のおばさんが集まりますが、なんか特殊なシチュエーションでの誘拐で、誰もが怪しくなってきます。嘘を言ってるのは誰で、助けなきゃいけないのは誰でしょう。現場と読者が混乱するYO!2023/12/02
yucchi
38
タイトルがなんとも気になる作品。ある大物政治家の孫娘が誘拐されるのだが、被害者宅には盗聴器が至る所に仕掛けられ警察は迂闊に手が出せないという誘拐劇。読んでも読んでも内容が頭に入ってこなくて、文章の上を目が滑っただけで終わってしまった。文章が脂っこ過ぎて胃もたれする感じ。犯人の動機もなんのことやら。私には連城氏は短編集の方が相性が良いのかも。2016/09/11