メイドの手帖―最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語

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メイドの手帖―最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語

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  • サイズ 46判/ページ数 414p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784575315585
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

出版社内容情報

DV、ホームレス生活、破れた夢、「貧困=自己責任」を強いる社会。
一変した人生に翻弄されながらも自分の手で道を開くことを選び、己の内なる声を書き記すことで少しずつ希望を取り戻していった、あるシングルマザーの体験に基づいた回想記。
バラク・オバマ、ロクサーヌ・ゲイらが絶賛し、全米ベストセラーとなった話題作を邦訳。


[出版社より]
これは、書かれる可能性がほとんどなかった物語だということを、どうぞ忘れないでいてほしい。
今まで多くの女性が語ることができずにいた、多くの物語があることも、どうか忘れないでほしい。(バーバラ・エーレンライクによる本書序文より)

シングルマザーとなった著者は、生活のために富裕層の家を掃除する「メイド」の仕事につく。自分を見えない幽霊のように扱う者たちの台所やトイレを磨く毎日。貧困、DVを振るう元パートナーや経済的自立を阻む恋人、穴だらけの福祉、偏見の目、そして誰からも尊重されない孤独の中、それら全てが低下させる自己肯定感に苛まれながらも、作家になる夢と、自らの解放を叶えていく。社会から不運にも疎外された者が地べたから見た格差社会の眺めと、少しずつでも自ら未来を変えていく希望を描いた回想録。
発売早々全米ベストセラーとなり、バラク・オバマ前大統領の2019年サマーリーディングリストと年間推薦図書にも選出。2021年、NETFLIXで映像化が決定している。

ひとり親であること、貧しいこと、生活保護受給者であること、DV被害者であること、セーフティネットとなる家族や地域共同体がないこと、最低賃金の非正規労働者であること、そして単に女性であることなど、現在の社会においていずれかひとつでも困難を帯びてしまう要素を何重にもまとわされ、差別・偏見に晒されたり不都合を被る当事者としての苦悩と、作家になる夢と娘への愛を原動力に少しずつ前進することを覚えていった著者のタフでパワフルな歩みが、日本においても同じ問題を抱えた人にとっての光となる力をもつ一冊です。

日本版解説:渡辺由佳里

内容説明

DV、ホームレス生活、破れた夢、「貧困=自己責任」を強いる社会。一変した人生に翻弄されながらも自分の手で道を開くことを選び、己の内なる声を書き記すことで少しずつ希望を取り戻していった、あるシングルマザーの回想録。

目次

第1章(ホームレスシェルター;トレーラーハウス;暫定住宅 ほか)
第2章(高速道路の上の部屋;ミニマリスト;ウェンディーの家 ほか)
第3章(「もっとがんばらないと」;湾の見える家;ハードワーカー ほか)

著者等紹介

ランド,ステファニー[マクナブ,クリス] [Land,Stephanie]
28才でシングルマザーになり、誰の援助も得られなかったために子供を産んで早々ホームレスとなったのち、メイド(家庭内清掃員)として働く。その経験をもとに書いた『メイドの手帖―最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語』は全米で話題となり、バラク・オバマ前大統領が毎年発表する2019年の推薦図書リストにも選出された。現在も引き続き、女性の貧困問題や不十分な社会保障などに対して声を上げる文筆家として活動中

村井理子[ムライリコ]
翻訳家/エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆのん

87
シングルマザーであるステファニー・ランド自身の実話。娘のミアを1人で育て、25年来の夢だった作家になる。ステファニーの言う『1人』とは本当に『1人』だ。夫はもちろん、親も友人もいない。そして究極の『1人』は精神的にも限界を迎える。彼女を支えたのは娘のミアの存在なのだろう。『夢』を見るゆとりも無いし、将来の事は不安の大きさから目を背けてきたのではないか。この世界で2人きりの『愛情』がステファニーに力を与えた…いや、強くなるしかなかったというのが本当なのかもしれない。飾らない真実を書いている所が良い。1952020/08/21

とよぽん

67
貧困・・・誰もが何かのきっかけで陥るかもしれない。自由の国アメリカで、大学進学を諦めたステファニーはシングルマザーになりホームレス・シェルターで苦難に満ちた新生活を始める。そして他に選択肢のないメイド(他人の家を掃除する仕事)として「その日暮らし」の孤軍奮闘する毎日。フードスタンプ、という屈辱的でも有難い制度があるけれど、それさえも貧困で怠け者の烙印という目で周囲から見られる。しかし、文章を書く人になりたいという夢、あこがれの地ミズーラに住みたいという夢を追い続けた彼女は、ついにそれを実現させた!2020/11/24

まあか

56
この本を読んで、自分に何が出来るのかは、分からないけれど、貧困家庭のリアルな現実を、知ることはできた。特に印象に残ったのは、生活保護を受ける権利があることを証明するかのように、常に動いていた、という部分。一生懸命働いて、働いて、その上でも生活が苦しいという状況に身を置いておかないと、周りの目や自分自身を欺けないのだ。誰からも哀れまれたくないという著者の文章も沁みた。誰からも蔑まされたくはない。ただ、1人の人間として接してほしいのだ。私は哀れんではいなかっただろうか?生活保護のあり方にも考えさせられた。2022/01/26

踊る猫

37
まるでケン・ローチの世界だ。貧困に身をやつし、メイドとして働くしかない女性の苦痛が伝わってくる。ユーモアがない分こちらを試すところがあるとも言えるが、私は彼女の筆致に助けられて読み進めることができた。想像を絶する貧困に対して、人は想像力が働かなくなるところがあるらしい。生活保護やフードスタンプ制度に関して、彼女の理不尽な体験と考察が特に読ませる。日本もアメリカも同じ……と考えると先行きが暗くなる。だが、彼女は腐らない。じっと眼前の事態に対応し、「ハードワーカー」として働く。だからこそ女神は微笑んだのだろう2020/11/04

かんやん

35
産む決断をしたために、BFからハラスメントを受けて、離婚した両親も諸事情から助けてくれず、子と二人ホームレスになり、政府援助を受けながら最低賃金の清掃の仕事に就く。思慮が足りず、計画性もない(批判ではない)。米では無名人の自伝がベストセラーになったりするそうで(『ヒルビリーエレジー』が浮かぶ)、本書もそういう体験記、サクセスストーリーなのだが、仕事内容や仕事先での観察が実に読ませる。書かれた方はたまったもんじゃないと思うが。シングルマザーの孤独と不安、経済的苦境、そして愛への飢え…胸を抉られた。2022/02/23

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