出版社内容情報
八柏龍紀[ヤガシワ タツノリ]
著・文・その他
内容説明
「京都検定講座」で教鞭をとるカリスマ歴史講師がわかりやすく教える天皇陛下「生前退位」議論の読み解き方。
目次
序説 天皇は何と戦ってきたのか?―生前退位が消えた理由
第1講 清和天皇と藤原摂関家―清和天皇はなぜ“生前退位”したのか?
第2講 一条天皇と藤原道長―華麗なる「王朝絵巻」の現実
第3講 後白河天皇と平清盛―動乱と遊樂のなかの生涯
第4講 土御門天皇と後鳥羽上皇―土御門天皇の“生前退位”と「配流」とは?
第5講 光厳天皇と後醍醐天皇―“出家”と“諸国行脚”、戦乱と宿命の間で
第6講 後陽成天皇と豊臣秀吉―はたして絶大な権力者とどう対峙するか?
第7講 後水尾天皇と東福門院和子―朝幕の垣根と修学院離宮
第8講 光格天皇と松平定信―“傍流”の屈折、皇統か公儀か?
第9講 孝明天皇と尊皇攘夷―傍流という自覚。“攘夷”にこめたミカドの復権
結語 時代のなかの「天皇」
著者等紹介
八柏龍紀[ヤガシワタツノリ]
秋田県出身。慶應義塾大学法学部・文学部卒。高校教師・大手予備校講師などを経て、日本近現代史・社会哲学・日本文化精神史に軸足をおき執筆・評論・講演活動をおこなう。現在、京都商工会議所主催「京都検定講座」講師、淑徳大学エクステンションセンター講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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C-biscuit
9
図書館で借りる。昨今、話題になっている生前退位の問題について知りたくこの本を借りる。近代の天皇は仕組みとして生前退位はないが、過去の天皇には生前退位をしていた事例があり、その辺りが詳しく書かれている。天皇の呼称も、以前はミカドであり、これまでのミカドの役割や考え方、その思いが歴史から類推されている。生前退位がメインではなく天皇に注目しているのも特徴である。今に時代も象徴としての天皇であるが、不遇な時代の天皇も紹介されており、南北朝時代の天皇は在位を剥奪されている方ももある。ミカド視線の珍しい本である。2017/01/16
エリナ松岡
6
初めての1番乗りかな、と思ったら2番でした。表紙をみて少し心配しましたけど、極端な政治スタンスをゴリ押しするわけでもなく、むしろ丁寧に調べて理論武装した純粋な日本史の本ではないかと思います。今上天皇の生前退位議論は序説にあり、以降は章ごとに、実権が天皇以外に移った摂関政治から尊王攘夷あたりまでの9人の天皇をピックアップして、タイのプミポン国王の生涯を思い起こさせるような天皇達の時の権力者との対峙について解説しています。コアな歴史マニアの方にはぜひ内容の精査の意味でもぜひ読んでほしいところです。2016/10/31
takashi1982
3
予備校で日本史を担当し、現在はフリーで著述活動を行っている著者の新刊。「お言葉」以降、天皇制や生前退位についてメディアでは採り上げられることが多くなった。本書は前近代の天皇にスポットを当て、生前退位という言葉ではなく、本来用いられた譲位受禅という言葉を使う。そして、藤原摂関家や織豊政権、江戸幕府など、その時代の権力者と向き合いながら「ミカド」としていかにあろうとしたかを9人の天皇にスポットライトを当てながら探っていく。近代以降の天皇制を相対化しつつ日本史における天皇制を考える思考の補助線となるだろう。2017/01/18