内容説明
貧困、伝説の敏腕検事、闇社会の守護神、そして5年の独居房生活と二度のがん手術。国家権力と死闘を繰り広げた男が今、反転攻勢に出る!
目次
序章 再発
第1章 転落
第2章 検察の正体
第3章 獄中生活
第4章 闇社会
第5章 死病
第6章 国策捜査
第7章 生還
終章 盟友・許永中
著者等紹介
田中森一[タナカモリカズ]
1943年、長崎県生まれ。岡山大学法文学部在学中に司法試験に合格し、71年に検事任官。大阪地検や東京地検などで、特捜部のエースとして数々の疑獄事件を担当。バブル絶頂期の88年に弁護士転身。裏社会の大物たちの顧問弁護士を務める。2000年に石橋産業手形詐欺事件で逮捕・起訴され、08年2月に上告が棄却されて服役。12年11月に滋賀刑務所から仮釈放。現在は論語の普及活動に努める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
19
著者は論語の信奉者の様だが、その論語を引けば「巧言令色、鮮(すくな)し仁」ということばに突き当たる。ヤクザやアウトローにも生存権と法の下の平等の保障という意見は同意できるものもあるが、開き直って胸を張るものでもない。論理のすり替え、ダブルスタンダード、自己弁護… 二言目には国策だ、法の濫用だというが、著者が弁護士で大金を稼ぎ、裏の大物と交際出来たのも、「法」という国が保障する権力を悪戯できたからという事を悟っていたかどうか。「巧言令色、銭を貪むさぼる者は、論語を講ずる人の内にあり」福沢諭吉のことばもある。2015/03/30
大先生
7
大半は「反転」で書かれている内容でした。ただ、収監されて以降の出来事(論語をノートに纏めた話、胃癌の話等)もなかなか壮絶です。収監中に大病を患うとどうなるのかがリアルに記されています。とても私には耐えられそうにありません(汗)。検察の怖さもよく分かります。500頁超の「反転」は読みきれないという方にオススメの一冊かと。本書の最後では癌を乗り越え、力がみなぎっているというところで話が終わっていますが、著者は本書出版から間もなく亡くなっています。やはり収監中に受けたダメージが大き過ぎたのでしょうね。2022/06/20
nizimasu
6
遺言という本を出した直後に命を閉じたヤメ検の田中森一氏の著書。その内容はかなりの部分最初の著書「反転」と重なる部分が多い。バブル紳士との交遊や雅叙園事件など、盟友でもある許永中への思いを最後にページを終わるのは何とも読後感にもやもやが残る。バブル紳士のや玉口組のナンバー2だった宅見若頭にシンパシーを覚えるのは不遇をパワーに変えて圧倒的なバイタリティで世の中を渡って行くその気骨のようなものだったのだろう。それにしても反転を書いた頃の検察批判もさすがに晩年はがんの再発などもあり達観したところもあるのが悲しい2015/06/13
NAKY
5
闇社会の守護神と呼ばれたヤメ検田中森一氏の遺書的自伝。まず、この本、構成が素晴らしい。有罪判決が確定し収監されてから仮出所するまでの日々と闇社会の守護神時代の思い出、特に許永中との思い出が交互に描かれる。後者はいわばフラッシュバックとして語られる。これがよくできていて、あたかも一本の映画のよう。ご本人の構成だとすれば、さすが一流の検事。物書きとしても一流だったのだなぁ、と。それはさておき、暴対法以後はいなくなった昭和の男である。バカやなぁとも思うしその男気に尊敬もする。こういう人、ホント、いなくなった。2018/07/10
go
2
反転、バブル、と被る内容が殆どだが面白くて引き込まれた。許永中だけじゃなくこの作者も人を惹きつける才能があると思う。何か情を感じるというか。2016/07/20