出版社内容情報
<デビュー25周年>渾身の書き下ろし長編ミステリー!結婚直後の妊娠と夫の転勤。その頃から夫は別人のように冷たくなった。彼からの暴言にも耐え、息子を育ててきたが、ついに暴力をふるわれた。そして今、自宅マンションの浴室で夫が倒れている。夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。もうそろそろ息子の翔が幼稚園から帰ってくるというのに…。途方に暮れていたところ、2週間前に近所でばったり会った大学時代のサークルの後輩・桂凍朗が訪ねてきた。「量子さん、問題が起きていますよね? 中に入れてください」と。
【目次】
内容説明
夫は死んだ。死んでいる。私が殺したのだ。デビュー25周年。渾身の書き下ろし長編ミステリー。
著者等紹介
伊坂幸太郎[イサカコウタロウ]
1971年千葉県生まれ。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)、08年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞、14年『マリアビートル』で大学読書人大賞、20年『逆ソクラテス』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
123
『鏡の国のアリス』の魔物『ジャバウォック』というタイトルからして、これはファンタジーなのか?それともSF?サスペンス?様々な要素がギュッと詰まった、伊坂ワールド全開の新刊。登場人物名もユニークで、桂凍朗(かつらこごろう)伊藤北斎、破魔矢、絵馬等、遊び心満載。ある殺人事件をきっかけに、次々と繰り広げられる出来事に、違和感を持ちながらもその展開に呑みこまれていく。しかしラスト、その違和感の正体が時空を超えた世界との繋がりを見せた時、様々な布石が前半から鏤められていた事を知り、物語構成の巧みさを改めて感じた。 2025/11/12
しんたろー
112
伊坂さん新作は「デビュー25周年、渾身の書き下ろし」と帯で謳っている久々の長編。「もう、25年かぁ」と初期作品に夢中になった頃を思い出しながら読み始めると…「ん?伊坂さんぽくない?いやでも、やっぱり伊坂さん!」これまでと違う雰囲気を漂わせながら「伊坂節」と言われる著者らしいユニークな会話…多くのベストセラーを産み出した凄みさえ感じた。そして、昔からテーマにすることの多かった人間の善悪や本質、繋がり等を説教臭くなく読ませる。終盤の疾走感や伏線の回収も相変わらず見事で「ファンで良かった!」と素直に思えた良作。2025/11/11
いなばさくら
85
帯には長編ミステリって書いてるけど、いわゆる一般的な謎解きとは違う、長編サスペンス的ミステリ。発行済単行本を全て読破している伊坂幸太郎さんの新作を発売日に購入し、翌日まで2日がかりで読了。いや、長編ミステリを平日にちょこちょこ読むのはやっぱアカンな。でも大好きな伊坂さんの作品を週末まで3日も積読しておくのも悔しくて、結局平日に読んだので、必ずしも内容を全て理解できていないのかもしれない。でもやっぱり伊坂さん的なストーリーは大変面白い。ていうか好きですね。読後にインタビュー記事を見たら、ミステリ作家として→2025/10/23
ケンイチミズバ
83
久しぶりの伊坂幸太郎だ。コードネームみたいな名前も然り。守りたい者、正義の為に家族が許せばDV夫を葬り去っても許す倫理観もあの作品を思い起こす。20年水槽に浸かった脳みそ状態は千葉さんの二作目で悪へのお仕置きを思い起こしたもののあまりにも気の毒です。脳に張り付いたエイリアンみたいな何かが人を暴走させる。人は根っこに悪を抱えているのか、理性のタガを外し暴走させるウイルス?物質?のせいで人を傷つける兵器のようになってしまう。それを軍事に応用しようなんて、人間はなんて愚か。しかし捨てたもんじゃないよ、この結末。2025/11/04
もぐもぐ
81
すっごく面白かった。夫殺しから始まり、笑いなく、終始感じる得体の知れない違和感にこれは難しい方の伊坂さんか?って最初なかなか物語に入り込めなかったけど、中盤からの怒涛の展開とそれが収束してゆく様ははさすが伊坂さん。人間の残忍な面を描きつつ、それでも温厚で善良な面を信じられる気持ちいい終わり方。「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。」言い尽くされた言葉だけど、それをこんなふうに見せてくれる伊坂さん大好きです。出水ポスカさんのカバーイラストも素敵。大満足な一冊。2025/10/24




