出版社内容情報
風汰が中二の時に授業の一環で行われた職場体験。「子どもとあそんでいればいいってこと?」と安易な気持ちで保育園を選んだが、のちにまさかの保育士に。しかも勤務先は、夜間保育園。仕事と育児に追われるシングル保護者、自身も一人の母親である保育士、そして自宅を改築して夜間保育園を開いた園長。様々な想いに触れながら、風汰も保育士として成長してゆく。子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと――。都会の片隅で、夜の保育園が灯す温かな光を描いた物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mike
85
新鮮だった。子どもに関する話は数々読めど、近頃はいじめ、虐待、貧困にヤングケアラーといつも暗澹たる気持ちで終わる。でも、夜間保育所が舞台の本書は読後、優しい気持ちになれる。保育士、保護者、子ども、それぞれの思いや苦悩を掬い上げ、幼い子の心と将来を考えていく。読みながらこの社会はまだまだ偏見が多いなと気付く。無認可の夜間保育所に対し、夜の勤めをする母親に対し、男性保育士に対し。児童書の続編らしいが、これは大人が読むべき話だと思う。2025/07/13
チーママ
64
夜に仕事をする親の子どもを預かるすずめ夜間保育園。子らに夜の寂しさを感じさせぬため、ゆったりとした家庭の温かさを大切にしている保育園だ。「子どもの幸せはね、子どもだけを見てもだめなの。子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと」とは園長の言葉。切迫した事情を抱える親の子が多い夜間保育園。追い詰められた親の皺寄せは子どもにくる。親の心のケアも大切なのだ。苦労人の園長、ベテラン保育士の千温、熱血保育士の風汰が今日も助けを求める親子を支え暮らしを守るために奮闘する。保育士の方々の尊さが胸にしみる作品。2025/06/26
itica
63
「天使のにもつ」の続編になるのだけれど、前作は児童書だったがこちらは大人向けだと思う。職場体験を保育園で過ごした風汰が大人になって、夜間保育園の保育士として働いている。夜間保育を利用するということは、それだけ切実な事情がある。園児と親、園長、保育士それぞれの立場で描かれた5編は考えさせられることが沢山あった。子供は家庭だけでなく保育園や学校、地域が一緒になって育てるものだ。しかし親が積極的に他人を頼るのはなかなか難しい。夜間保育園が親子の避難所になるのであれば、必要な場所だと思う。 2025/06/02
シャコタンブルー
55
『すずめ夜間保育園』は認可外で深夜まで営業しているのでベビーホテルとも言われている。だから夜間働いている人にとっては最良の保育園だが、そこに預けられた子供たちの感情は触れれば壊れるガラスのように繊細だ。だから保育士たちは優しく包み込むように寄り添うが子供たちのヘルスケアや親からのクレーム等もあり息つく暇もない状態だ。つくづく大変な職場だと思えるが、子供たちとの会話やその笑顔が仕事のモチベーションに繋がっているのかも知れない。親から愛されているって実感できる子どもが一人でも増えて欲しい。2025/07/03
もぐもぐ
54
認可外の「すずめ夜間保育園」を舞台にした群像劇。深夜2時の保育園のお迎え、理想の前に現実があり、夜間に保育を必要としている子どもがいる。働き方や家族の在り方が多様化する中で、こういう場所はより重要になってくるのでしょうね。「子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと」という言葉、ほんとその通り。自己責任と突き離さず善意で支える人たちに温かくなるけど、これはもっと国が何とかすべき課題だと思いました。とても良かったです。 #NetGalleyJP2025/06/20
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