出版社内容情報
風汰が中二の時に授業の一環で行われた職場体験。「子どもとあそんでいればいいってこと?」と安易な気持ちで保育園を選んだが、のちにまさかの保育士に。しかも勤務先は、夜間保育園。仕事と育児に追われるシングル保護者、自身も一人の母親である保育士、そして自宅を改築して夜間保育園を開いた園長。様々な想いに触れながら、風汰も保育士として成長してゆく。子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと――。都会の片隅で、夜の保育園が灯す温かな光を描いた物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪丸 風人
11
支え合う気持ちを呼び起こす物語。気高い意識のもとで運営される夜間保育園を舞台に、学生っぽさが抜けない青年保育士や、頼られるベテラン、情の厚い園長先生らが躍動します。お迎えは深夜2時まで、時には朝まででも受け入れる施設はどこか特別。けれど一人ひとりの園児はやはり、当たり前に愛情を欲する小さな存在ですね。元気いっぱいだったり涙に溺れるような姿に触れて、彼らの明るい未来を願わずにいられませんでしたよ。とくに面白かったのは、若々しさが微笑ましくもあるやんちゃ保育士が関わるエピソード。(対象年齢は13歳以上かな?)2025/05/21
柊子
4
「天使のにもつ」の続編。夜間保育所のお話。本来なら、こういう場所は必要ない方が良いのだが、現実はそうもいかない。必要としている人が、どれほど多いことか…。息子を育てた頃の環境も、今、孫たちが育っている環境も、最良のものだと思う。とても恵まれている。改めて感謝したい気持ちになった。2025/05/22
keisuke
4
ネットギャリー。フィクションであることはわかっていても、すべての親子にこういう居場所があってほしい。冒頭から子どもが辛い状況にあって読むのがしんどかったけど、いとうみくなら絶対大丈夫と信じて読み進められた。作中で「赤ちゃんがおにいちゃんにしてくれる」とあるけど、親もそう。親として成長させてもらう。子どもにイライラして後で申し訳なくなって。一緒に歩んでいけたら、と願える小説だった。そして前日譚あったんだな、読んでみよう。2025/05/20
よし
2
玲奈さんの悲痛な叫びは、玲奈さんだけのものではないはず。「子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと」という園長先生の言葉は正しい。残念ながら今の日本は、誰もが子育ての理想を実現できる社会じゃない。この本の中でも、何度か危うい場面がありましたが、誰にも頼れず、追い詰められれば、不幸な結末を生むことも現実にはあるだろう。だから、「困っている親子」のためにいろいろな支援が受けられる社会になるといいなと思います。楓太くん、相変わらずだけど立派になっていて嬉しかったです。#NetGalleyJP2025/05/21
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