出版社内容情報
後藤は大学サークルの女友達・金子とネットで活動する新興宗教BFHを立ち上げ、大バズりした。礼拝施設を建設するためのクラファンツアーを実施し、岩手の無人島・月蝕島に重課金信者を集める。上陸翌日、信者のYouTuberが首なし死体となって殺され、その後も次々と信者が殺されていく。犯人はいったい誰なのか? 船は3日後まで来ない。極限状態で信じるべき神の存在とは? そして最後は、誰も――。『私雨邸の殺人に関する各人の視点』で話題となった探偵不在のクローズドサークル・ミステリー、再び!
内容説明
かつて投資詐欺で逮捕された後藤は、懲りずに大学時代の女友達・金子とネットで布教する新興宗教BFHを立ち上げた。チャンネル登録者数が10万人を超え、宗教法人化を目指して礼拝施設建設のクラファンツアーを実施。無人島の月蝕島に重課金信者を集めたのだが、2日目の朝に信者が首なし死体となり、その後も次々と人が殺されていく。誰も犯人を突き止めることができぬまま、最後は誰が―。
著者等紹介
渡辺優[ワタナベユウ]
1987年宮城県生まれ。大学卒業後、仕事のかたわら小説を執筆。2015年に「ラメルノエリキサ」で第二八回小説すばる新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪紫
59
「しかし船に乗っている人間の中で、三日後の月蝕を島から眺めることができた人間は、二人しかいなかった。(「一日目 昼」終了時)」。ネットの新興宗教メンバーと信者10人が礼拝施設建設予定の孤島に。探偵不在のまま連続殺人が起きたらミステリよりサスペンスになるよなぁ。探偵不在のミステリの舞台で主役であり教祖たりえる存在はーー犯人である。キャラが犯人以外も立ってるのでここまで殺す必要あるか?と思いつつ、まあ、この動機ならなぁ・・・。いや、ないか。2025/05/02
さっちゃん
44
後藤は大学時代の友人らと後輩の天羽を教祖に新興宗教を立ち上げる。礼拝施設建設のためクラファンツアーを実施。無人島・月蝕島に信者を集めるが、信者の一人が首なし死体となって発見。その後も次々と起こる殺人。船は3日後まで来ない。スマホの電波も届かない。犯人は一体誰なのか…。/『私雨邸』同様に探偵役不在で、各人の視点から語られる。思うより混乱せず読みやすいが伏線に不親切なところがあり、謎も一部不明のままでモヤモヤ。犯行動機も「なんじゃそりゃ」としか思えないのが残念。でも孤島のクロサーの雰囲気はバッチリで楽しめた。2025/07/12
えみ
43
その祈りは誰のため?彼は何を祈る?彼女は何に祈る?…とんでもないものを呼び起こしてしまったのは誰?それぞれの信じるモノは、何?月蝕島に降り立ったある宗教の信者たちが見たのは神か悪魔か。教祖様への敬愛、カタチの無いものを信じる揺るぎない心の強さと集団になった時の団結力。それが想像を絶する恐怖に抗う力となる…はずだったが。何を見せられた。知らぬうちに支配されている怖さがグラグラジリジリと迫り上がってくる。気をつけないと殺られる。ちょと気を抜くとあっという間に飲まれてしまう。呆然唖然のまさかの瞬間を震えてまて!2025/06/21
海の仙人
38
カラスに続いて2作目。新興宗教を立ち上げた学生時代のサークル仲間が昔の詐欺の逮捕劇を引きづりながら重課金信者を集めての無人島ツアーを企てる。連続する殺人事件で一人ずつ減っていく信者たち。犯人推理の楽しみはありましたが、動機も含めて最後まで何となくすっきりしなかった感じ…。探偵役が不在だったからなのかな?2025/07/08
練りようかん
20
主人公が立ち上げた宗教団体の施設見学ツアーで島入りした10人。まず設立要件が学びで、生き残り人数が始めに示されてるのが良い。あの古典を想起し3分の2過ぎるとドライブがかかってくるのだが、11人目がいるのかいないのか情報共有されないところにオリジナルのプラスαを感じ、主人公の恋人家族もまた存在の有無が透けてきて、犯人特定の鍵になるかも知れぬ盛り上がりに繋がった。作りものの教祖と厚い信仰心の需要と供給が合ってんだかなんだか、ずっと違和感が続くのも楽しい。面白いラストで残った二人は脳内で決着。良かった。2025/06/28