出版社内容情報
浅草天王町の札差、坂田屋の娘お亀久は、元は男勝りのお転婆だったが、六年前にかどわかしに遭ってから、見知らぬ男と血を恐れ家から出られなくなった。さらには、許婚である材木問屋、万紀の長男紀一郎が紀州で山崩れに巻き込まれ行方知れずに。悲観したお亀久は大川に身を投げようとする。激怒した母は、命の尊さを教えようと、「産婆の神様」と呼ばれる八丁堀のおタネ様の家にお亀久を連れて行く。始めは恐れおののいていたお亀久だが、おタネ様から産婆は女相手の仕事だから男の出る幕はないと聞き、見習いを申し出る。
内容説明
浅草天王町の札差「坂田屋」の娘、お亀久は、元は男勝りのお転婆だったが、六年前にかどわかしに遭ってから、見知らぬ男と血を恐れ家から出られなくなった。さらには、幼馴染みの許婚が山崩れに巻き込まれ行方知れずに。絶望したお亀久は大川に身を投げようとする。嘆き悲しんだ母は命の尊さを教えようと、「産婆の神様」と呼ばれる八丁堀のおタネ様のところにお亀久を連れていく。初めは恐れ慄いていたお亀久だが、産婆は女相手の仕事だから男の出る幕はないと耳にし、思わず見習いを申し出る。
著者等紹介
中島要[ナカジマカナメ]
早稲田大学教育学部卒業。2008年、「素見」で第二回小説宝石新人賞を受賞。18年、「着物始末暦」シリーズで第七回歴史時代作家クラブ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
145
「あたしはこの仕事で生きていく」この言葉が堪らない。札差「坂田屋」の娘・お亀久6年前にかどわかしに遭ってから見知らぬ男と血を恐れ引きこもりになっていた。更に許婚の紀一郎が山崩れに巻き込まれ行方不明になった。一時は身投げも考えたが、母親はそんな娘を「産婆の神様」と言われるおタネ様に預ける所からこの物語は始まる。お亀久の成長物語でもあるし、お仕事小説、生と死・・命の話でもある。これはもっと続きが読みたい。 2024/10/10
fuku3
24
2024.10.17読了。札差田村屋の娘亀久は6年前に人攫いに合い後遺症で男と血が駄目になり引き篭りに!材木問屋の許婚紀一郎が紀伊の山で山崩れに遭い行方不明に!悲観した亀久は身投げをしようとしたが、紀一郎の弟紀次に助けられる。母親の富久は娘に命の尊さを教える為に産婆の神様タネに合わせ、出産に立ち合わせた。タネから"産婆に向いてる"と云われた亀久はタネの元で産婆の見習い修行をする事に。亀久の出産に纏わる6篇の連作短篇。お産婆さんのお仕事&亀久の成長譚。いつの時代もでも女性にとって出産は命掛けの行いですね!2024/10/17
たんぽぽ
17
読みやすくてサラサラと読了。 どの時代にも、幸せなおかみさんになることが女の人生の成功!とは考えられない者がいる。 江戸の時代にも、女ならでは専門職があったことに救われる想い。2024/10/29
なお
14
今よりも大変だったであろうこの時代のお産。 お亀久にときどきちょっとイラっとしつつも成長を楽しく読みました。 おゆきの出番がもうちょっと欲しかったところ。2024/10/08
ふわりん
12
新しいシリーズの始まりかな、と期待大で読み始めた。江戸時代、大名行列を追い越していいのは飛脚だけ、横切っていいのは産婆だけだったとか。それほど産婆は重要な存在だったわけだけど、やっぱり今も昔もしんどい仕事だ。裕福な商人の娘であるお亀久が産婆になるにはまだまだ程遠いけど、産婆の神様のおタネ様も何とか生き延びたし、紀次も実家も絡んで産婆への道はこれからも続いていくようだ。今回はお亀久の生い立ちや状況の話が多かったけど、産婆に関わることで今回とまた違った話も読めたら良いなと思う。ぜひシリーズでお願いします!2024/10/02