出版社内容情報
忍鳥摩季は世の中で起きる超常現象を調査する専門家。一見、ちょっと頼りない彼女が、世の中で起きる超常現象を利用した殺人事件を解決していくのだが、なぜか謎解きになると摩季の態度は一変してしまう・・・・・・。彼女の背後にいる謎の「先生」とは!? 世にも奇妙な超常現象の世界を描く特殊設定ミステリー。
内容説明
空間がループするペンション、時が止まる洋館、人を操る謎の少女…超常現象を利用した殺人事件。その謎にちょっと頼りない女の子が挑む!アガサ・クリスティー賞作家渾身の特殊設定ミステリー。
著者等紹介
穂波了[ホナミリョウ]
1980年千葉県生まれ。2019年、謎の致死性ウイルスが題材のパンデミック小説『月の落とし子』で第9回アガサ・クリスティー賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
190
現代社会にふさわしいSF特殊設定ミステリーで普通のミステリーを読むのに飽きた方にお勧めの一冊ですね。そうですね、とにかく複雑怪奇過ぎて私には一読だけでは理解し難かった印象でしたね。でもこんな困難な分野に挑んだ著者のチャレンジ精神と勇気には拍手を贈りたいですね。かなりのミステリーマニアにしか支持されないような気がしますが今後とも著者にはミステリの決まった型に嵌まらずにいろんな分野を開拓して頑張ってもらいたいですね。別名義を含めて書かれた6冊をこれから少しずつ読んで行こうと思いますね。#NetGalleyJP2025/01/02
オフィーリア
61
時空ワープ、時間停止、タイムリープ、超常現象が現実に存在する世界観での特殊設定ミステリ短編集。どの短編もライトで読みやすく、ミステリ部分は徹底してロジカルで上手く纏まっていた印象。中でも時間停止中の殺人「月夜のストップ」がお見事なハウダニット。2024/06/13
雪紫
56
裏でひとの想いが巻き起こす超常現象が起こる日本。その事件に巻き込まれたことがきっかけで新人の専門家となった女性と先生の物語。とんでもない超常現象がさらっと読みやすく描かれてる。しかし、ミステリもかなり飛んでるが動機とそれに至る背景が凄まじくてどの動機の背景も・・・凄く好みです。動機を差し引けば好みは「月夜のストップ」、「怪物とコントロール」で(なかなかの後味でもあります)。2024/07/02
さっちゃん
55
超常現象×ミステリ。別々の空間が繋がるループ現象により、全員がペンション2階に閉じ込められる。助けを呼べない中、体が二つに分断された死体が発見される「白銀のループ」、定期的に時間が止まるストップ現象の中で行われた殺人「月夜のストップ」、周りの人間の行動をコントロールする「怪物とコントロール」、繰り返されるタイムリープ中の殺人事件を通して、摩季と行動を共にする“先生”の正体が明らかになる「私と彼のタイムリープ」の4編。超常現象好きとしては、ライトな読み心地だけど満足感のある一冊。ミステリとしても面白かった。2024/05/07
koma-inu
45
全4編とも、異なる超常現象をテーマにした連作短編。これだけ思いつく作者、すごい。主人公の摩季、とある特殊設定の「先生」の探偵コンビが、超常現象下で起きる事件を解いていく。イチオシは「月夜のストップ」。屋敷内で特定周期に起こる、30分間の時間停止。なんと、停止中に殺人が起きる。誰も動けないはずの停止時間の中、犯人は誰か?時間停止の事を、登場人物は知っている事がミソで、上手くルールの隙間をくぐったロジックが秀逸。最終話で摩季と先生の感動的な関係性も明かされ、読後感良しです。2024/09/10