出版社内容情報
歩容解析――人間の歩き方で個人を特定する技術。顔認証を超える個人同定率を誇るシステムを開発した能勢は鉄道会社の社員に接触、警察とも関係を築く。能勢は鉄道会社が持つカメラや自動改札機のデータ、警察が運用できる市街の防犯カメラのデータを使用し「あること」をしようと画策していた……。驚愕の第44回小説推理新人賞受賞作。
内容説明
歩容解析―人間それぞれの歩き方の特徴から個人を特定する技術。そのプログラム「ラミダス」を開発した能勢恵には、ある目的があった。それは、かつて自分の母親を殺し、自分を凌辱した男を探し出すこと。やがて、男に辿りついた恵は、以前から計画していたことを実行に移すが…。人はいかに生きるのか。緊迫感溢れる筆致で描くミステリー。第44回小説推理新人賞受賞作。
著者等紹介
遠藤秀紀[エンドウヒデキ]
1965年東京都出身。2022年、「人探し」で第四四回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オフィーリア
64
人間の歩き方から個人を特定する歩容解析システム「ラミダス」の開発者主人公は、母を殺害し自分を汚した男に復讐を目論む。作り込まれたシステムの設定が見どころ。復讐に用いる主人公、事件の捜査に用いる警察、事件性の無い善意の人探しに使う駅員、技術への向き合い方は人それぞれ。2024/02/15
えみ
52
久しぶりに強固な意志、目的を達成する事のみを“己”だと信じて疑わず、それ以外は何もない人物の妄信的な生を目の前に突きつけられた一冊。過去の殺人事件の記憶とそこから発せられる臭いが消えない能勢。彼女は彼女のみが操作できる歩容解析システム「ラミダス」を相棒に、そのシステムが警察でも追いきれない事件の犯人捜索を行い解決へと導いていく。探し、追いかけ、捕まえる。AIと人との共和の成果が発揮される。しかし…操縦者と一体化するラミダスが密かに与えられた使命に光が射した時、同時に後方から闇が迫る皮肉さも感じて怖くなる。2024/05/03
rosetta
40
★★✮☆☆44回小説推理新人賞。自分には全くダメだった!(個人の感想です)まずリーダビリティが圧倒的に悪い。表現の指向が自分と合わず文章の上で視線が滑る。 映像に残った歩容から100%人物を特定出来るとかあらゆるカメラの映像を同時にスキャンできるとか3歳の時の記憶が鮮明に残っているとか、そんなん有り得へん無理やろ〜という設定に目をつぶるにしても。自分で作り上げたシステム「ラミダス」を人格の様に扱う主人公も気持ち悪いし、自ら鼻を潰すとか意味わからん。これ投稿したらちょっくら他の人の感想見てこよう2024/03/04
ううちゃん
38
なんでこの本を読もうと思ったのかな。正直あまり入り込めない読書になってしまった。マスクで顔を隠し、独白が多いところが「レモンと殺人鬼」をなんとなく彷彿とさせる。なんていうか曇りガラスの向こうを見ているみたい。こちらに迫ってくるものがなかったなぁ。歩容解析システムは短期には有効だけど、確かに加齢やケガで変わっちゃうよね。鉄道改札が個人識別にまでなるのは一般市民としては心理的ハードルが高いなぁ。まぁ、電車に乗るとかほとんどない田舎暮らしだけどね。2024/08/05
fuku3
28
2024.2.4読了。第44回小説推理新人賞受賞。遠藤秀紀氏初読み。非情に惜しい作品で有る。素材、発想、着眼点はとてもよいのだけども、それだけでは小説は面白くならない!新人作家に有りがちなだだ自分の想いを原稿用紙にぶつけただけの作品になってしまった。小説を読む側の事をまったく考えていない、構成や設定、リーダビリティはチョと酷い出来である!現役の東大教授だけに、今後の執筆活動はどうなんだろう⁉︎もっと沢山描いて素晴らしい作品を生む出して貰いたい!2024/02/04