出版社内容情報
協調性がなくてマイペース、それでいて人畜無害な、いい人――そんな羽野未知生が不慮の事故に遭い、41歳の若さで突然この世を去った。葬儀に参列した高校の同級生や大学時代の元カノ、会社員時代の同期や上司は、在りし日の想い出を振り返りながら、自分自身の〈今〉を見つめ直す。そして遺された家族もまた、未知生のいない日常を歩みはじめるが――。 イマイチつかみどころの無いキャラの未知生と、生前うっかり関わってしまった者たちの〈これから〉を描く書き下ろし長編小説。
内容説明
協調性なし、裏表なし、悪気なし。そんな彼が突然この世を去った―。生前の未知生とうっかり関わってしまった人たち。その満たされぬ日常をユーモラスに描く、ちょっとホロ苦い、心ゆさぶる物語。
著者等紹介
片島麦子[カタシマムギコ]
1972年広島県生まれ。2013年、『中指の魔法』(講談社)で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
283
幼い息子を庇い事故により41歳の若さで世を去った羽野未知生さん。彼と人生の短い一時期を一緒に過ごした七人の男女のその後を描く連作短編集。彼は特別に優秀な人ではなく、むしろ目立たない冴えない感じの人だったけれど決して悪人ではなく良い人だったのですね。彼は人に怨まれるようなことはなく他人の人生を好転させるような影響力が見られるのは偶然にせよ彼の人徳だと言ってよく、彼自身が自分の事よりも他者の幸福を喜ぶような性格に思えるのですね。まるで空気のように人生を駆け抜けて決して悲しみを感じさせず結末には希望が漂います。2023/08/14
シナモン
110
事故で亡くなった未知生さん。ぼんやりとつかみどころのない未知生さんのイメージは生前関わった人たちが一人、また一人と語るにつれて徐々に輪郭を表していくけど、核心はつかみきれないいまま、まさに表紙の未知生さんのイメージで。人が人に見せる顔なんてその人のほんの一部なのかもしれない。ちょっとズレた良い人、未知生さん。じんわりと心に残る一冊でした。2023/11/15
やも
89
不思議な読み心地。時たまグッとくるような、えーそれって結局どゆこと?ってなるような🤔早逝した未知生さん。彼を同級生、元カノ、元同僚、元上司、奥さま、息子達がどう見てたか、彼等視点でツラツラと。なんか掴み所がないな〜未知生さん😮💨どんな人なのかよく分からなかったな🤔出会った人の数だけいろんなあいつが存在する、ってのがしっくり来たかな。ラストの息子目線には驚かされた。未知生さんの脳内が知りたい🤔2023/12/17
mike
89
列車事故で41歳で亡くなった未知生さん。生前関わった人が彼を思い出し自分の人生を振り返る。彼等の思い出の中の未知生さんは掴み所がなく、鈍臭く、マイペースで、悪気なく苛つかせるイイ人。皆の話を集約しても未知生さんの正体は表紙絵の様によく分からないまま。しかし最後になって彼が何故事故死したのかの真実が明らかになる。それは悲劇としか言えない。でも真実を知った未知生さんは「あ、そうだったんですか」と言って笑うだろう。女性上司の前での未知生さんが素敵。「ぼくが、必要ですか?」って弱ってる時これ言われたら落ちる💘2023/11/12
fwhd8325
69
人は死んでからも、思い出してくれる人がいる限り、本当に死んではいない。そんなことを聞いたことがあります。私が死んだとき、時々でも思い出してくれる人はいるのだろうか、そんなことも考えたことがあります。未知生さんに関わった人たちの未知生さんとの物語は、切ないけれど、ただの思い出だけではない温度を感じます。その死を嘆き悲しむではない姿には、生前の未知生さんの姿がはっきりと感じ取れます。片島さんの作品を続けて読んだけれど、どれも余韻が心地よい物語です。2025/10/29




