出版社内容情報
独身で子供のいない可南子は、もうすぐ還暦を迎える。これまでは仕事一筋に頑張ってきたが、定年退職したあと、どう生きればいいのか途方に暮れている。そんな中、子育てと介護を終えたかつての友人・芳美から、一緒に暮らさないかと誘われて…。それぞれ人に言えない悩みを抱える迷える六十歳たちは「人生の問題」にどう向き合うのか?
内容説明
キャリアウーマンだった可南子は、もうすぐ60歳。独身で子供はおらず、やりがいだった仕事も定年退職が迫っている。将来に気が滅入る中、地元で開かれた同窓会で中学時代に親しかった芳美と再会した。長きにわたる子育てと介護を経て、いまや未亡人だという芳美から「一緒に暮らさないか」と誘われて…。それぞれ悩みを抱える60歳たちは、「人生の問題」にどう向き合うのか。
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年、和歌山県生まれ。2008年「虫のいどころ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。17年『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』で〓田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
364
故郷で開かれた中学校の同窓会で60歳定年間近のアパレル会社勤務の独身キャリア・ウーマン可南子は、中学時代の大親友だった未亡人の芳美と再会して、この町で同居して一緒に暮らさないかと誘われて考えた末に都会を離れる一大決心をする。若い日に共に嵌まった少女マンガのコレクションに朝から晩までどっぷりとのめり込む毎日、これでいいのだろうか?とも思いながら二人は未知の還暦ライフを突き進んでいく。私は男で少女漫画の世界とは無縁の人生でしたが、それ以外はほぼ似た境遇にありまして大変興味深く読みまして大きな勇気を貰えました。2023/05/19
いつでも母さん
180
45年振りに中学校の同窓会で再会した還暦の二人。自分のためだけに生きてきた可南子と、嫁・母・妻として家族のために生きてきた芳美。芳美の純和風の一軒家で『共助』の名の下に一緒に暮らす物語。中学時代に夢中になった大好きな漫画がそこかしこに登場するのも世代的に面白かった。途中、近所の男子中学生の力を借りたり、もう一人還暦で息子家族と同居し肩身の狭い元花屋の香織が加わって、そこからクリスマスに開催される同人誌即売会に向けて行動を起こす三人をガンバレ~!って応援する私だった。『今を楽しみ尽くす令和の還暦小説』ふふ。2023/05/16
のぶ
139
同じ世代に近い自分として、身につまされるような小説だった。主人公の可南子もうすぐ60歳。独身で仕事も定年退職が迫っている。冒頭に地元で開かれた同窓会で中学時代に親しかった芳美と再会する。芳美にも現在に至るまでの人生はあったが、この町で同居して一緒に暮らさないかと誘われて考えた末に都会を離れる一大決心をする。そこに還暦で息子家族と同居し肩身の狭い元花屋の香織が加わって新しい生活が始まる。暇を持て余しがちのこの世代で彼女らの生き方はとても充実したものに写っていた。これから先も良い毎日が続くと良いのだが。2023/06/25
kotetsupatapata
118
星★★★☆☆ 還暦になり定年を迎えた可南子が、中学校時代の同級生だった芳美とひょんなことから同居してこれからの老後を過ごしていくストーリー。 少女マンガの行が長いなと思ったら、まさかそういう展開になるとは😁 今後益々高齢化が進み、独居老人も増えていくであろう日本ですので、こういう生活も可能性としては有り得ることでしょう。 でも男は上下関係持ち出しそうで、こんな暮らし無理だろうな~ 😅 取り敢えず桜井みたいにならないよう気を付けます2024/07/12
ネギっ子gen
114
【少女漫画というのは、魂で触れ合えるただ一人との、関係性を描くもの】JDさんのレビューに惹かれて。文章は好み。内容も頗る面白かった! なにより、漲る“少女漫画愛”。尊い! 独身で還暦を迎えた可南子は、友人・芳美から一緒に暮らさないかと誘われる――。<還暦後の長い時間が、すべて自分のものだなんて恐ろしすぎる。なにかで埋めなきゃ間が持たない。そう感じていたからこそ、可南子たちは互いに手を取り合ったのだった。だから可南子は芳美に流されて一日中漫画を読んでしまっても、「今日はそういう日」と割り切ることにした>。⇒2023/08/02