出版社内容情報
大切な人へ、あなたが最後に贈りたいものはなんですか? 友人に先立たれた孤独な老女、祖母と喧嘩別れした女子高生、幼馴染みと結ばれなかった中年男、顧問の先生を喪った部活仲間……。依頼人の死後に届けものをするサービス「天国宅配便」の配達人が贈る、心温まる感動の物語。
内容説明
依頼主の死後、預かった荷物をしかるべき人のもとへ届ける『天国宅配便』。この世からいなくなったあの人が、最後に届けたかったものとは―?親友、祖母、初恋の人、先生…4つの小包が想いを繋ぐ、心揺さぶる救いの物語。
著者等紹介
柊サナカ[ヒイラギサナカ]
1974年、香川県生まれ。日本語教師として7年間の海外勤務を経て、2013年「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉として『婚活島戦記』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ALATA
177
ある日突然届く宅配便、それは想い人から届く最後の手紙だった。親友からもらったカセットテープで生きがいを取り戻す夕子、「やりたいことをやりなさい」祖母の言葉に涙する文香、うつうつと暮らしている現世に爽やかな風を吹き込む四編の物語でした。いつも見つけて欲しかった真帆、隠された秘密が切ない「午後十時のかくれんぼ」が良かった。★3※会社の手帳に記載されているエンディングノート、私もそろそろ準備が必要か・・・2024/04/30
おしゃべりメガネ
171
インスタで見かけて手にとった作品です。タイトルからして、間違いなくココロにじんわりと響く作品だろうなと思っていましたが、やっぱり予想通り、じんわりきました。送り主がもうこの世にはおらず、送り主から残されている大切な人への宅急便を届ける連作集です。どの話も生きている人々は何かしら後悔や気にしていたコトを秘めており、宅急便を機会に見つめなおします。個人的には「科学サイエンス部」の話が素晴らしく、青春と挫折、そして再起がドラマチックに綴られてます。今を大切に、そして身の回りの人をもっと大切にしようと思います。2022/05/07
モルク
161
依頼人の遺品をしかるべき者の所に届ける天国宅配便。4話の短編とエピローグで結ぶ。この手の設定は何回かお目にかかりありきたりなものと思ったが、思いがけず引き込まれる。晩年を仲良く暮らしていた友人2人に先立たれごみ屋敷と化した家で暮らす老女「わたしたちの小さなお家」厳格な祖母に反発し自由を求め東京の大学に進学した孫娘の「オセロの女王」幼なじみの二人「午後十時のかくれんぼ」高校の部活顧問から今は大学生の部長に託されたこと「最後の課外授業」どれも甲乙つけがたくそれぞれによかった。 2023/03/19
Karl Heintz Schneider
139
「仕事は宅配したら終わりじゃないの?」「いえ、手元にお届けして、完了です。」「手元に届けたじゃないの?」「ご依頼主様からは、必ず【中身】を届けてと頼まれているんです。」天国宅配便は、ちょっと変わった宅配便。亡くなった方から生前託された荷物を、遺された方に届けます。ときには、受け取りを拒否する人もいますが、配送人の七星律は粘り強く受取人寄り添い、やがては荷物を受け取らせてしまいます。彼女が届けるのは「荷物」ではなく「想い」。その想いが受取人に届いたのを確認して始めて彼女の任務は完了するのです。2022/05/06
とろとろ
131
短編4つ。依頼主の死後に預かった荷物を届ける「天国宅配便」という会社が、親友、祖母、初恋の人、先生というテーマで、託された遺品をそれぞれれ関係の人に届ける。その遺品を開けた後の想いや生活の変化を綴ったもの。最初の「親友」は、おばあさん三人で暮らしていたのだが、最後に一人残ってゴミ屋敷になっていたお婆さん宅に亡くなった人の遺品が届けられて立ち直るっていう、他の話も似たような結末なんだけれど、なんだかじわっと来るなぁ。読み終わった後にも、自分であれこれ想って、また、しばらくじわっと来る。来るねぇ、来るねぇ…。2022/07/19