出版社内容情報
浮気相手に捨てられた売れない脚本家の夫。その夫に内緒で応募したシナリオコンクールで優秀賞を受賞し、これまでの家事育児だけの生活から外の世界に飛びだそうとしている妻。そんな妻に不倫相手を失った夫が久しぶりに迫るが・・・・・・。「セックスレス」をきっかけに夫婦のあり方、子育てのあり方を問いかける家族小説。
内容説明
「俺、家事育児はほかのお父さんよりはやっていると思うよ」「ほかのお父さんじゃなくて私と比べてよね」ダメ夫に愛想を尽かした恭子は、内緒でシナリオコンクールに応募、見事に最優秀賞を受賞し脚本家デビューを果たすとともに、経済的にも精神的にも自立しようとする。一方、不倫相手に捨てられた夫の孝志は久しぶりに妻を誘うが…。発達障害の疑いがある息子の子育て、コロナ禍での不自由な生活に行き詰まった二人は、ついにぶつかり合うことに。罵声飛び交う夫婦の愛憎劇。
著者等紹介
足立紳[アダチシン]
1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。脚本を書いた『百円の恋』が第一回「松田優作賞」を受賞。同作は日本アカデミー賞最優秀脚本賞も受賞する。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。小説家としても活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayuri
83
確かに。「したい」夫と「したくない」妻の攻防戦はあるものの、それだけの話じゃない。コロナ禍で閉塞感漂う中、発達障害の特性を持つ息子との生活を描きながら夫婦や家族の在り方を考えさせてくれる。しかしながら、この夫のダメダメぶりには呆れ返る。脳内メーカー診断すれば、ほぼ性欲、後はプライドと打算で埋め尽くされていそう。元浮気相手の部屋前での行為は変態的。こんな夫を相手に「したくない」妻の気持ちに100%共感する。妻の爆発ぶりは恐怖を通り越して笑えてしまう。ラストはどうなる事かと思ったが妻の気付きと決断に拍手喝采。2022/02/20
yuyu
50
ダメだこりゃ…。大人になれきれていない夫婦、孝志と恭子。自分がこんな風になったのは、親の育て方が悪かったなんて、いくつになって言っているのか、呆れて物も言えない。全く共感出来ず、とにかく、読了。はぁ、疲れた。2022/08/17
けいこ
40
本屋さんでよく目にするので手にした本。『したい、したくないとかの話じゃない』とあるけれど、いや、基本そういう話(笑)そこにコロナ禍で頓挫する仕事や子育ての悩み、家族というものに対する価値観が絡んで在らぬ方向に進む2人。最終的には最適な決断をしたとは思うけれど。とにかく旦那の性欲が引くレベルだし、嫉妬とか、打算的な考えとか、いい所が見つからない。かと言って、妻の方も段々と調子に乗る態度とか、性格悪、、と感じる部分が多々あって、まるで共感できない登場人物たち。なので作品自体も全然良さがわからず。ごめんなさい。2022/02/26
よっち
32
浮気相手に捨てられた売れない脚本家の夫。夫に内緒で応募したシナリオコンクールで優秀賞を受賞し、外の世界に飛びだそうとする妻。夫婦のあり方や子育てのあり方を問いかける家族小説。コロナの状況下で発達障害気味の息子を抱えて、家事育児だけの生活の閉塞感がある状況を変えたいと思っていた恭子。妻の変化に戸惑いを隠せない落ち目の脚本家で気紛れな夫。すれ違って悪循環に陥ると、何とかしようとすればするほど裏目に出るのはよくあるな…と思いながら読んでいましたが、そんな二人が出したこの結論は現実的な落とし所だったんですかね…。2022/02/05
おかむら
22
コロナ禍のダメ夫(落ち目の映画監督兼脚本家)とイラつく妻(シナリオコンクールで賞とってデビュー寸前)と5歳男児(いうこと聞かない)の家族小説。あー、面白かったー! 著者の足立紳さんは安藤サクラの「百円の恋」の脚本家の人。小説も何作か書いてるよう。ってか先の朝ドラ「ブギウギ」の脚本もこの人だったわ!へえ! ダメな人の話は何故こんなに楽しいのかしら!器の小ささよ!2024/04/16