出版社内容情報
伝統あるマルヨシ百貨店に勤める美由起は、大食堂のマネージャーに就任した。しかし、長年愛されていた大食堂は時代の変化とともに廃れ、存続の危機に直面していた。その上、若社長が引き抜いてきた料理人の智子は、大食堂の味を片っ端から変えようとして……!? 古き良き大食堂の未来はいかに? 美味しい料理と懸命な奮闘が奇跡を起こす、お仕事グルメ小説!
内容説明
胸ときめくオムライスに、夢の詰まったプリン。あの大食堂にはかつて、特別な記憶がやどっていた。創業40年以上の伝統を誇るマルヨシ百貨店に勤める美由起は、急な異動で最上階にある大食堂のマネージャーに就任することに。しかし、長年愛されていた大食堂は時代の変化とともに廃れ、存続の危機に瀕していた。その上、若社長が都会から連れてきたシェフの智子は、大食堂の味を否定し片つ端から変えてしまおうとする。美由起たち従業員は、古き良き大食堂の未来を守ることができるのか。一致団結の奮闘に胸が熱くなる、おいしさ満点の物語!
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年、和歌山県生まれ。2008年「虫のいどころ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。17年『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』で高田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
326
マルヨシ百貨店の大食堂の存続をかけた再生物語。若社長の妨害があるものの、マネージャーの美由紀を中心に守っていく。メニュー一新というわけでなく、今あるメニューを、工夫して美味しくする。これなら長年通ってる常連にも違和感なく、通ってくれそうだ。革新でなく再生という言葉がピッタリ。存続を目指して頑張るスタッフは、もはやチームだ。チーム名はダサいけど…。そして、現代ならではの問題があるんだねえ。食べる側のマナーというか、こんな問題があるとは知らなかった。料理とスタッフに心がほんわかした。【読んだ本登録900冊目】2021/11/28
けんとまん1007
195
百貨店の最上階にある大食堂。読みながら、あまりの懐かしさに、微かな記憶を呼び起こした。ショーケースを眺めながら、どれもこれも目移りして、なかなか決められなかったような。。。そんな大食堂を巡るショート集。取り上げられるメニュー、どれもこれも食べてみたい。それをキーにしながら、関わる人たちの関係性の変化が面白い。半分くらいは、想像はできるのだが、それをそれで安心感にもつながる。続編を望む。2022/02/01
kotetsupatapata
185
星★★★☆☆ 失礼な表現なのかもしれませんが、起承転結もハッキリしており、小物ながらも悪者も最後はギャフンとさせるなど、舞台がレトロ感満載のデパートの大食堂のせいか、派手さは無いもののオーソドックスで読みやすい話でした。 主人公の美由起は勿論、智子の過去やカンナの意外な素顔等キャラクターの設定も好感が持てました。 男性陣がもう少し奮闘するか、美由起に絡んでくればもうちょっと良かったかな?2022/11/10
おしゃべりメガネ
176
個人的に坂井さんはこういう人情痛快物語をもっともっとたくさん書いてほしいと思います。経営の怪しい老舗デパートの大食堂にクセありな料理長「智子」が登場。何かとメンバーと衝突を繰り返し、マネージャー「美由起」は気も休まらない。しかし、「智子」の料理の腕は一流で『オムライス』や『プリン』『パスタ』などあらゆるマジックを仕掛けていきます。料理を軸にメンバーとのつながりも少しずつ広がり、チームがまとまりかけた頃、とあるウワサが。やはり美味しい食べ物は人を笑顔にし、ココロをしっかりと優しくほぐしてくれるんだなぁと。2021/11/10
みっちゃん
171
存続の危機に立たされたデパートの大食堂を生き返らせる為に。スタッフたちの迷い、創意工夫、奮闘。章立てに使われたメニューはどれも日本人の心の琴線に触れるソウルフード。ああ、私も食べに行きたい。特に全てのお料理がぎゅぎゅっと凝縮された一皿、終章のお子さまランチはサイコー。ずっとナイショだった主人公の娘が短冊に書いた願い事が明らかになる件はじんわり、と胸の中が温かくなる。2022/04/06