出版社内容情報
「私、あなたの娘です」四十歳独身の大守良行の家に、突然中学生の少女・都筑日向美が訪ねてきた。良行は十五年前、かつての恋人・都筑街子に頼まれ、精子提供をした事を思い出す。交通事故でこの世を去った街子の遺言によって、良行は日向美と暮らすことになるが……。親子とは何か、家族とは何かを問いかける長編家族小説。
内容説明
老母と二人で暮らす、ルーズでいい加減なダメ男・大守良行。最愛の母を亡くし、ひとりぼっちになった中二の女の子・都築日向実。日向実を温かく迎え入れた、義理人情に厚い良行の老母・大守光枝。いとこの日向実を陰ながら支えようと心に誓う中三男子・関惟吹。元恋人の良行から精子提供を受け、日向実を生んだ都築街子の遺志で、新たな日常をスタートさせた四人。そんな中、自分の出生の秘密を知った日向実は、ある男を探しはじめる―。シリアスでややこしい父娘の関係をユーモア溢れる筆致で描く、心ゆさぶる長編家族小説。
著者等紹介
朝倉宏景[アサクラヒロカゲ]
1984年東京都生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。2012年『白球アフロ』で第7回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞し作家デビューを果たす。2018年には、『風が吹いたり、花が散ったり』で第24回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
122
全体的にみれば感動するステキな話なんでしょうが、最後までグッとココロにくるモノが物足りなく、なんでだろうとずっと思ってましたが、多分主人公の軽さ、ちゃらんぽらんさ、軽率さが許せなかったんだと思います。おとぼけ天然キャラはわかるのですが、四十半ばにしてその対応はないだろうと残念なキモチになる場面が多々あり、せっかくいいコト言ってても、なんか響いてこない流れはとても勿体なかったです。主人公をはじめ、大人達がどいつもこいつもみんな勝手な気がして、個人的にマトモに感じたのは従兄弟の彼だけにしか思えませんでした。2021/06/12
ゆみねこ
73
四十路の売れない役者・大守良行のもとに突然現れた14歳の娘・都築日向実。かって恋人だった街子の依頼で精子提供をしていた。街子が亡くなり遺言にしたがって良行の家に。義理人情に厚い母の光枝や日向実を気遣い見守るいとこの惟吹。良行が軽すぎてイライラしたけれど、なぜ自分は生まれたのかと悩む日向実と惟吹の未来が明るいものであるようにと思いながらの読書。2024/10/15
kei302
61
四十歳独身の大守良行の家に 突然中学生の少女 都築日向実が訪ねてきた。 良行は15年前 かつての恋人 都築街子に頼まれ 精子提供をした事を思い出す。 しをんさんの「まほろ‥」行天みたいだと思いつつ読み進めるが、盛りだくさんすぎて……。2021/04/28
シャコタンブルー
59
「私ね、自分の体が、どうしても人工的につくられたような気がしてしかたがないの」精子提供で生まれた14歳の日向実の言葉が生々しく心に刺さる。母親を亡くし、身寄りの無くなった彼女が後見人として頼ったのは40歳の独身男の良行。この男のダメさ加減と自らの出生の秘密に苦しむ日向実との姿が対照的だった。学校でのイジメもあり悩み苦しみ続ける日向実に対し軽蔑され疎かにされても真摯に向き合う良行の姿勢に共感する。どんな形であれ、この世に生を受けたからには精一杯生きて欲しい。それには人の温かさが必要だ。日向を掬う人が必要だ。2021/05/11
そら
55
売れない俳優(ほぼニート)な四十路独身の良行の元に、ある日娘だと名乗る中学生、日向実が現れた。良行は過去に付き合っていた女性から頼まれ精子提供をし、妊娠出産の知らせをもらったことを思い出す。日向実の母は事故で亡くなり、実父である良行を訪ねてきたのだが…。テーマは悪くないが、内容が薄っぺらい。人物像の魅力にも欠ける。こんなに単純にお互いを愛しく思えるものだろうか?途中まで真剣に読んだのでやめるのも勿体なくラストまで読みきったが、クライマックスは逆に白けてしまい、やけくそで流し読みをしてしまった…。2021/06/25
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- 和書
- 貨物列車 探究読本(仮)