出版社内容情報
明治十年(1877年)。甚夜は、思春期を迎えた娘の野茉莉との接し方に手を焼く日々をおくっていた。そんな中、すっかり鬼そばの常連客になった染吾郎が、百鬼夜行の噂話を仕入れてくる。夜毎、京の町を練り歩く数多の怪異――その中心にいたのは、五年前、甚夜と兼臣が対峙して苦戦を強いられた鎖を操る鬼女だった。いよいよ災厄の女、マガツメが動き出す。大人気和風ファンタジーシリーズの第六巻。
内容説明
京の町を練り歩く百鬼夜行―その中心にいたのは、五年前に甚夜が苦戦を強いられた鎖を操る鬼女だった。和風ファンタジーシリーズ第六巻!
著者等紹介
中西モトオ[ナカニシモトオ]
WEBで発表していた小説シリーズ『鬼人幻燈抄』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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モルク
105
シリーズ第6弾。物語は明治の京都を舞台とし、娘野茉莉もお年頃、見た目の変わらぬ父甚夜とぎくしゃくするようになる。主人の仇討ちを求める兼臣、その仇討ちの相手鎖を操る鬼女地縛は甚夜がかつて苦戦をしいられた相手であり、しかもそれだけではないただならぬ関係が明らかとなる。ゆっくりと年をとる鬼甚夜と野茉莉父娘もいずれ遠からず逆転する。その時に野茉莉は甚夜の母になるという。その想いに涙し、マガツメの影が色濃くなってくる気配に不穏なものを感じる。2021/06/06
mayu
68
シリーズ6作目。主の仇討ちを成し遂げようとする兼臣は、百鬼夜行を追いかけて、地縛にたどり着く。ただ、それだけではなく、裏にはマガツメがいて、甚夜にとっても大きな意味をもつ戦いが近づいていることを予感させる。甚夜の娘、野茉莉も思春期。思いあっているはずなのに、すれ違う父娘。長い時を生きる鬼にとって、人の寿命は短い。いつかは野茉莉も父を追い越していくのが変えられない定め。それでも、ずっと家族としてあり続けたい。その願いに胸が熱くなる。2022/10/13
えみ
62
解けかけた桜色のリボンをきつく結び直して父娘の絆を確かに…この刹那の幸せ結びを永遠とする。この世を惜しむように一片舞う花の残滓にも似た感情が、人と鬼が共に生きる時間の儚さを映す。優しさが夢に現に染み入って後悔と切なさ、そして愛の深さを知っていく。父は鬼、娘は養女。故に家族に強い結びを求める不器用な二人が、真剣な想いの空回りで時に擽ったい気持ちにさせてくれるは至極当然ともいえる。鬼でありながら鬼退治を請け負っている甚夜に待ち受ける運命はいつだって不穏。マガツメとその娘、過去を縛る亡霊。今後が気になる明治編。2021/02/19
よこたん
60
“もっと上手くやれていたら、違う今があったのではないか。考えてもどうにもならないとわかっている。それでも過ぎ去ってしまったいつかを忘れるというのは難しい。” シリーズ第六巻。鬼は変わらないままに長く生きるが、人は歳を重ね、やがて老いて別れのときを迎える。幼かった娘は、ゆっくりとだが確実に父を追い越してゆく。それでも、家族でいたいという思いに胸がいっぱいになる。縁は、人でないものとも、紡がれていくのだ。飄々とし過ぎで、以前はあまり好きではなかったはずの染吾郎と別れの気配が近づく。それがとてもさみしい。2021/05/02
はにこ
45
野茉莉の思春期。思春期って色々思い悩むものよね。実父でないと分かっているし、鬼人の父。上手く折り合いをつけてきたつもりでもね。そんな父子が微笑ましい。妻と堂々と名乗る刀もちょっと笑えた。それでもきっとこの平和は長く続かないのだろう。東菊が何やら怪しい。2023/09/15
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