透明な耳。

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透明な耳。

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  • サイズ 46判/ページ数 337p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784575243598
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

都立高校2年生でダンス部員の由香は、ある日交通事故に遭い、聴覚を失う。その時、家族は、友達は、恋人は……。それぞれの思いが交錯し、すれ違いながら織りなす人間模様を葛藤を描いた葛藤と再生の青春群像劇。90年代~00年代にかけて数々の広告賞を受賞したCMディレクターで映画監督としても活躍する著者初の書き下ろし小説。

内容説明

「その日の朝、由香の耳は透明になった。」音楽とダンスをこよなく愛する17歳の少女は、ある日突然、「音」を奪われた。絶望、葛藤、そして希望…彼女が聞こえと引き換えに手に入れたものとは―。音と映像のプロフェッショナルが描いた「音のない世界」。リアルな描写と、けれんのない筆致で紡がれた、切なくも暖かい物語。

著者等紹介

村本大志[ムラモトタイシ]
1963年、神奈川県生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、東北新社に入社。主にCMディレクターとしてテレビCMの企画・演出を手がける。1992年、フジサンケイ広告賞のグランプリを受賞。1996年に東北新社退社後もCMディレクターとして活躍し、ロンドン国際広告賞(LIA)のPublic Service部門GOLDなど、国内外における数々の広告賞を受賞した。またフリーランスとなってからは映画製作に活動の幅を広げ、映画監督の相米慎二氏に師事した。映画監督としての代表作『MASK DE 41』(’04)では釜山国際映画祭で企画賞(PPP Ilshin Award)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

konoha

68
事故で中途失聴者となった高校生、由香の絶望と希望を丁寧に描く。少しライトな感じはするが、とても良かった。文章がきれいで読みやすい。ダンスが好きな今時の少女、由香と支える友人、彼氏、母がひたむきで泣けた。耳鳴り、補聴器、手話。中途失聴者がぶつかる問題も知った。彼氏の修一が失うものより由香の好きなところの方が多いと気付く場面が良い。手話の先生、補聴器店のコトリさん、手話ダンスのダンサーも個性的。それぞれの葛藤の中に確かな光が見えた。語り手が頻繁に変わる、父親が父親らしくない、同級生の描き方は気になった。2022/03/18

そら

50
音楽とダンスに情熱を傾けていた17歳の由香は、突然の事故により聴覚を失う。絶望し、受け入れられない由香と母親の裕子。頼りにならない堕ちかけた作曲家の父親。事実を知らされない恋人と親友たち。事実を受け止め、少しずつ再生していく由香と家族、サポートする周囲の人々の成長の物語。音が歪み、常に耳鳴りが頭に響くことは想像を絶する辛さだろう。リアルな描写に音のない世界を想像する。そして、音がしないはずの本のページから、音楽が、リズムが伝わってくる。奇跡は起きないけど、瑞々しく爽やかな読了感。新たな世界を知った。2021/03/18

よっち

37
都立高校に通いダンス部では中心的存在の原田由香。しかし帰宅途中に接触事故に遭い、その外傷が原因で感音性難聴となってしまい、耳が聞こえなくなってしまう葛藤と再生の青春群像劇。絶望し友達や恋人と連絡も取れなくなってふさぎ込み、家族の関係もぎくしゃくしてしまう由香。当たり前だったはずの日常を全て失ってしまう絶望感は半端なかったですが、こういう時必要なのは寄り添ってくれる理解者と、これからの未来に向き合う勇気なんですよね。苦しい状況を乗り越えて夢に向かってチャレンジする由香たちの姿にはぐっと来るものがありました。2020/12/16

のぶ1958

15
初読み作家さんでしたが、読メの皆さんの書評に惹かれて。とても良かったです。 事故により中途失聴になった高校生が、周囲の人達の温かで真摯な励ましを通じて自身の目標を見つけていく。シンプルな展開ではあるけれど、主人公の事故後の耳の聞こえの経過と心の葛藤が、とても丁寧に丁寧にリアリティを持って描写されていて、物語にのめりこみました。もし自分が耳が聞こえなくなったら、自分の家族が失聴になったらどうするだろうかと考えさせられた。 タイトルと表紙のイラストも、清廉で素敵でした。2022/04/16

ドシル

14
ダンス部のエースだった主人公が事故で突然耳が聞こえなくなり、葛藤しながらも手話を覚えやりたいことにもチャレンジしていく物語。 正直、読みづらい文ではある。 手話や聴覚障害について丁寧に取材している印象がある。 受け止め方は人によるだろうか。 不思議な作品だと思う。2021/08/31

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